'97/4/12

彗星を見ました


能勢に来ていますね。
合宿なんですが、バッハのモテトの演奏会のためです。
私が練習をみたのは7時過ぎからでした。
この時間には夜空に彗星がみえるかもしれないという情報が伝わっていたんです。
しかし、合宿所は山間にあります。見えることはないだろうという情報も流れていました。
角度も低いし、雲も少し出ていましたから半ばあきらめかけていたんですね。
私たちはついています。
見えたんです。
練習を一寸休み、皆で夜空を見上げました。
彗星の尾っぽもしっかり見えました。
この彗星は(名前は何でしたっけ?)今度接近する時には私の年齢ではもう見ることができないそうです。
今日見れて良かったです。
こんな時です。双眼鏡を持って来ている者がやっぱりいるんです。
彼には感謝です。
順番に並んで団員たちは見入っていました。

昼の大空はどこか現実的なものを感じます。雲の流れは人生を感じさせ、遥か遠くの山々は世界を想像させ、ロマンティックな気分にもさせられるものです。これは人間的なものの一部を反映させたものでしょう。

星を見ると人間の小ささが身に染みます。
夜に輝く星は到底人間世界のものではありえません。星と星を結び、星座に数々の物語を作ったとしても、現代の我々はそれに浸っているだけではなく、大宇宙へと想像が広がっていく世界に居合わせています。
星を見ると地球の存在のちっぽけさをいやがうえにも思い知らされてしまうんですね。
人間なんて何と小さいんだろう。しかし何という奇跡なんだろうと。
宇宙の広がりを想像するごとに、私は頭の中の容量を急に深く大きくさせられたかのように感じるんです。
今日はほんとによかったです。
その後の団員の顔は輝いていました。
悠々とした感じといっていいかもしれません。
練習が巧くいったことは言うまでもありません。
明日もきっといい一日になることでしょう。
静かな山間にいることの幸福感を、今、味わっています。

'97/4/12「彗星を見ました」この項終わり


Back

Next