No.180 '98/9/17

(オプショナル・ツアー) マントヴァ


いよいよモンテヴェルディの町、マントヴァでの一日です。
ホテルは駅前にありました。しかし、ひっそりとしています。<さびれている>という印象でしょうか。
しかしマントヴァは14世紀以後支配したゴンザーガ家のもとで発展し、15世紀には文化的にも芸術的にも栄えた町でした。
ヴェルディの「リゴレット」の町としても有名なのですが、私たちにとってはモンテヴェルディが活躍したドゥカーレ宮殿内の「鏡の間」へ訪れることが目的。

ゴンザーガ家の居住、ドゥカーレ宮殿の正面です。

ワクワクして広場を渡り入り口へ。
音響を重視して建てられたという宮殿内のサンタ・バルバラ教会(モンテヴェルディもここで演奏したり、指揮をしました)へも行きたかったのですが、只今工事中だとのこと(この工事、後2年かかるそうです)とても残念!

ドゥカーレ宮殿内から見たサンタ・バルバラ教会(工事中です)

しかし、「鏡の間」は入れました。入り口に立ったとき、ホントに私は胸の高鳴りを押さえることができないくらい感激していたんです。
ドアには、モンテヴェルディの手紙が引用され、その時代この部屋で毎週金曜日モンテヴェルディの指揮によって音楽会が行われていたことが記されています。
まさにモンテヴェルディの主要作品が初演された部屋に私は立っているのです。
内装は当時のものではなく、後にこの街を支配したハプスブルク家が手を加えてはいますが、部屋そのものは残っているんですね。
ここを訪れることができたというだけでも満足なのに、なんとここで歌っても良いという許可がおりたんです。
この交渉はガイド役を果たしてくれているサブリナがとってくれました。
最初、係りの人は「まあ、1,2曲ならいいよ」ということだったのですが、結局、「私たちは7時までここで働いている。それまではご自由に」ということになったんです。
合唱が始まったとたんその係りの人の顔が変わりました。
しばらくすると各部屋の係りの人たちが集まってきて聴き始めます。
観光客も立ち止まって聴いてくれています。
合唱団はこの部屋の音響の良さに合わせて気持ちよく歌っています。
この光景、やっぱり私としては「最高の喜び!」ですよね。
じ〜んと胸に迫ってくるものがあって、「ホントに来て良かった」と思いました。

上の写真は歌い始めた時です。

感激を後に街に戻ってきました。
マンテーニャのお墓があるサンタ・アンドレア教会に行きました。
時間が経っていましたけれど、アカデミア劇場(テアトロ・シエンティフィコ)にも行ってみようということになりました。
ここはモーツァルトが14歳の時に演奏したという由緒ある劇場。1972年に完全に復元され今日でも実際に使用されているというとても美しく、またお伽話にでも出てくるような内装でした。写真では上手く伝えられないと思うのですが、それはそれは見事なものでした。
しかし、その劇場に居たのは3分ほど。実は訪れた時間が閉館時間ぎりぎりになってしまっているのでした。ここの係りの人の好意で見学できたそうです。(でも良かった、感謝です)

この日の夜、旅行の最後ということでホテルの近くのお店でささやかなパーティをしました。
ここちよい夜でした。ワインをいただき、美味しいパスタも食べました。
サブリナが歌を聴きながら泣いているのが印象的でした。
ドイツのライナーといい、イタリアのこのサブリナといい、ホントに素晴らしい仲間に恵まれていると思います。
ホテルに戻った私が、幸せの気持ち一杯で深い眠りについたことを想像していただけるでしょうか。
ホテルの人たちもとても良い人たち。その何気ない心を尽くした応対に私の心は落ちついていました。

 

'98/9/17「(オプショナル・ツアー) マントヴァ」終わり