No.307 '00/7/24

レンブラント版画展


メーリングリストでも流れていて好評だった「レンブラント版画展」に行って来ました。
日蘭交流400年周年を記念しての開催だそうです。
今日がその最終日、JR京都駅の伊勢丹7階、美術館「えき」が会場でした。

油彩画のみならず、版画でも名声を得たレンブラント、その代表作を集めての展覧会です。
150余点にもおよぶ数、その充実ぶり、そして、なによりも良かったのはその展示の配列、そして会場の雰囲気だったと思います。
今日は最終日とあって人も多かったようですが(行った人たちの話では、ゆっくりと回るほどの余裕がいつもあるということでした)、それでもゆったりとした気分で見て回ることができました。
天王寺の美術館で開かれている展覧会よりはずっと美術館らしい風情でした。
それぞれの好みもあるわけですし、どちらの絵画が人気があるといったことでもなく、競い合う必要も、比べあうのも必要ないと思いながらも、その違いに驚いてしまいました。
まず、会場の雰囲気がいいんですね。
画が小さいということもあるかと思うのですが、思う存分接近して見られます。
警備の人がいません。
注意する人、急かす人、監視する人、威圧する人がいません。

この会場、いつもこんな風だと聞きました。
結構、充実した展覧会を開いているそうです。知りませんでした。
これからも「来たい」と思いました。

レンブラントの人間像が私の中で広がりましたね。
宗教画としてのレンブラントを見てきた私です。しかし、彼の版画の中の人間描写を見るにつけ、彼の人間観、17世紀オランダの市民の息吹をも身近に感じられた展覧会でした。
こんなにも後味の良い、充実した展覧会は久しぶりです。
会場は決して広くはないのですが、印象が私の中でこんなに広がっているのは、レンブラントの底深い作品のせいばかりではないようです。

銅板に刻まれた光と影の世界。
それぞれの版画は、己の持つ世界にふさわしい場所を得たかのように、整然と並べられていました。

No.307 '00/7/24「レンブラント版画展」終わり