No.427 '02/5/25

<心>が顕れる文


「文」を書くのは難しいですね。
私など昔から「文」を書くのが苦手、書く度に落ち込んでしまうんです。
自分の思いと、「文」にした時のギャップの大きさに我慢ならないでしょうね。(笑)

しかし、ある時から「書く」ことを積極的にするようになりました。
「文」の中に<今>の自分自身が出てしまうわけですから、書くことで「自分を知ったり」、「考えをまとめたり」するのが面白いことだと思えたからですね。
その時から人の文章も面白く読めるようになりました。
ですからわたしは「小説」のようなストーリー性のあるものよりはルポルタージュなどの客観と主観が混在する読み物に興味を持つのでしょうね。

今、「電子メール」とか、ホームページでの「掲示板」を読むのが面白いです。
至る所で熱いバトルをしていますね。(笑)
ちょっとついていけない話題や気持ちの悪さ(失礼!)がともなうサイトもあったりするのですが、最近では木下牧子さんのホームページ上の「掲示板」が印象深いです。
今日のテーマを書くのが遅くなってますね。(笑)
実は、その一連のやり取りの後に書かれた牧子さんの「文」のことを書きたかったのでした。(やっと、今日の本題です)

この「掲示板」、話題も豊富で投稿数も多いです。
若い人が中心になっているようにも思うのですが、音楽家やその関係者もいらっしゃるようで最近では私もよく読ませていただいています。
その「掲示板」で演奏会での「聴衆のマナー」について書き込みがあったのを契機に、熱いやり取りが行われました。
(この「マナー」のこと、いつも必ず話題に上りますね。そして意見が戦わされます。私などどれだけこの話題に今まで振り回されたことか(笑))
しかしそのやり取り、紳士的でしたね。(ちょっとドキドキものでしたが)
他の所では「罵詈雑言」の類ともなってしまうのですが、ここでは実に穏やかに、そして建設的なやり取りが行われました。
そして、牧子さん登場というわけです。

「ひとりごと」というコーナーで、「よい聴衆とは」と題して書かれるんですね。
この「文」、いいんですよ。
先ずご自分の体験をもとに、「私は三つの原則を持っている」ということから書き始めます。
その三つとは「ケータイの電源をOFFにする」「軽く食事をしていく」「遅刻しない」なんです。
特にわたしは「軽く食事をしていく」ということに心打たれました。(笑)
これって、演奏中に鳴るお腹のことですよね。これ、よくわかるんです。(笑)

文章が軟らかいですね。
エキセントリックじゃないのです。(笑)
諭すわけでもなく、強く意見を誇示するわけでもなく、しかし、牧子さんらしい主張が貫かれている文章となっています。
読み手に「理知的」「優しさ」を感じさせるのは、視野の広がりと、矛先をご自身にも向けられる、というところにあるのかもしれません。

書き手の<心>が顕れる文。
牧子さんが書かれた文はまさに「木下牧子」そのものですね。
この作曲家の作品に出会えたこと、そして演奏できたことに一層の喜びを感じました。

No.427 '02/5/25「<心>が顕れる文」終わり