第2の解[うえお]

『ボンの教会ドアマン』

浪者の話はもう少し続きます。この話は時系列に沿わずに書いてゆきますので、ちょっと混乱するかもしれませんが、話はボンに戻ります。

ベートーヴェンの生まれ故郷、ボン。このボンで一番大きな教会が、Muenster Basilikaです。バジリカ形式の少し派手な、あいや、とても立派な教会です。(^^;)

僕たちがボンの街に着いた翌日が日曜日でした。もちろんこの教会でも、ミサをしておられました。(ミサの様子からすると、どうやらカトリック寺院の様です。)司祭様らしき方が立派な衣装を着てお祈りを唱えられておりました。お香が入っていると思われる、鎖付きのボール状の道具を祭壇の周りで振り回す役目の人が2人。(遠目には、女性のように思われましたが。)

そして、若い神父様が、テノール声でグレゴリオ聖歌の詠唱を朗々となされておりました。そこには、今回の演奏旅行の曲目にも入っていた、柴田南雄先生の『宇宙について』の第6章『諸民族の祈り』で史ちゃん(倉橋史子さん)が歌われておられた旋律がくっきりと・・・。(いちなるぅ〜ものがすべての・・・が、まさにそのままの旋律で歌われておりました。)本歌のさらに本歌を聞くことが出来て、大変興味深く思いました。


Muenster Basilika, Bonn
さて、本題です。(長い前振りや・・・いつもの事ですが。(笑))
このMuenster Basilikaですが、出入り口の上部(タンパンと言うのでしたっけ?)にとても立派な、金キラなモザイクが作りつけてありました。そしてその立派な入り口には、何とドアマンまでいる様子。おじさんが、にこにこと愛想良くドアの開け閉めをしてるではありませんか。
『さすが、西ドイツの首都やった街やなぁ、教会にドアマン・・・。』
と、妙な感心をしていたのですが・・・。教会に近づいてよく見ると、おじさんの足下には、紙コップが置かれています。町の人らしき人は、時々紙コップに小銭を入れている様子です。

実はこのおじさん、ただの浮浪者だった様です。恐らく教会も黙認しているのでしょう、一応、『労働』しているので、良しとしますか。(^^)

そう言えば、今回のヨーロッパ旅行では『紙コップ』を持った浮浪者の方々を良く見かけました。ブリュッセルでは、身なりが少し薄汚れている以外は、体格も立派でちょっと浮浪者とは思えない男性が、駅の通路で紙コップを突き出して立っていました。ブリュッセルでお世話になった飯沼パパ(合唱団代表)によると、彼はその日朝からずっとそうやって立っていたそうです。(我々が彼を見かけたのは、既に夕刻でした。)これって結構体力がいりますよ。仕事にあぶれた日は、そうやって日銭を稼いでいるのでしょうか?

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