南仏東部・地中海沿岸のコート・ダジュールには、映画祭で有名なカンヌなどがあります。車窓から見る風景は、延々と続く海水浴場です。その中でも最大の都市が、ニースでしょうか。駅の大きさ、人の多さからいくと、そうなのかもしれません。 アルルからの列車がニースに到着し、次の夜行列車の発車番線を確認するために、改札口(?)へ向かって地下道を移動中に、その事件に遭遇しました。 先ほども書きました様に、コート・ダジュールを走る列車からの風景は、海水浴場かあるいは断崖に囲まれた岬や湾です。気分はほとんど『紀勢本線』です(^^)。しかし客の乗降は意外に多く、特に、カンヌからは結構な人数が乗り込んで来ました。終着のニースでは、相当な人数が列車から吐き出されていました。 それで、ホーム間の地下通路は改札(何て物は無いのですが)へと向かう乗客と、その荷物でごった返しておりました。僕たちも、自分たちの荷物を引っ張りながら、人の流れに沿って移動していました。その時です。色が浅黒く目の大きな少女が、菓子箱の蓋を開いた様な段ボール箱を水平に持って近づいて来ました。ジプシーでしょうか? てっきり物乞いだと思った僕は、首を振りながら"No!"と言って、追い払おうとしました。しかしその少女はしつこく食い下がって来ます。『しつこいなぁ・・・』と思っている内に、いつの間にか他に2〜3人の少女が僕の周りにたかっていました。その内、右のポケットがゴソゴソとしだしました。 『なんやぁ、こいつ・・・?』と、口を突いて出てきた瞬間、悟りました。彼女らは少女スリ集団だったのです! こんな時は、兎に角、怒鳴りつけて追い払わなければなりません。 『"Was machen Sie?"・・・いや、これはドイツ語や、ええと、と、頭の中で繰り返したあげく、実際に口から出てきたのは、 "What are you doing!!"・・・フランスのジプシー少女相手に、英語でどなってもねぇ・・・(苦笑)。まぁしかし、この一喝は効果があったらしく、彼女たちは引き下がりました。 因みにこのとき、僕は喉がヒリヒリするくらいの『大音声』で怒鳴った積もりだったのですが、パンダロン曰く。『そんな小さな声じゃダメよ。』(^^;)ま、そんなもんでしょうね。こんな時はやはり日本語、それも大阪弁が一番良いかなと、後から思いました。しかしパリでの地下鉄詐欺の時と違って、僕の気持ちはとても暗くなりました。あまりにも幼稚で見え透いた手口です。しかしその手口が自然なくらい、年端の行かない少女たちなのです。イタリア・ミラノでも、全く同じ手口で『仕事』をしている少女たちがいました。僕の心は、ますます暗くなりました。 |
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