『そして花巻へ みちのく一人旅'99その7』
(2000/03/23)

 焼山からバスに乗り休屋へ、そこからさらにバスを乗り換え、十和田南駅へ向かった。
 
 行きとは逆の方向で、午前中とはまた違った表情を見せる十和田湖を後にした。日差しも、昼間ほどの照りつけはなく徐々にではあるが、陰り始め渓谷に程良い陰影を持たせていた。
 
 十和田南駅に到着。次の列車までには20分ほどある。駅の構内では地元の高校生とおぼしき集団が、そばを食べて談笑していた。僕は朝からまともなものを食べていなかったので、ここで生そば(要するに何も入っていないそば)を食べた。
 
 周りに何もないから、余計な騒音のとも無縁で、蝉の声以外は何も聞こえない。本当に静かだ。
 
 やがて列車が到着。車内はクラブ帰りの高校生でいっぱいだった。大館からここまでと同じように、ここからも緑と青の風景が続く。車窓からの風も心地よい。山間部にはいると見事な渓谷を何度か越え、その後はしばらくは森の中を走っていく。こんな路線は初めて体験した。2,3度トンネルを抜けると、列車はやがて、広い平野に出た。日も傾き空は美しい夕焼けに彩られていた。

 

 進行方向に、勢いのある積乱雲が立ち上り、それに夕焼けが反射してきれいなピンク色とも、オレンジ色とも判断の付かない様を見せていた。



 右手に形に特徴がある山(地図で調べたところ、麓に小岩井農場を抱く岩手山だった。列車はその反対側を走っていたわけだ。)を見ながら、空の色がどんどん濃く色を変えていくさまを、僕は飽きもせずに見続けていた。











 壮大で、かつ繊細な景色の一幕が終わると、日もとっぷりと暮れ、やがて列車は終点、盛岡駅へと吸い込まれた。乗り換えた花巻行きの列車には、勤め帰りのサラリーマンがたくさん乗っていた。少し現実に戻される・・。
 
 50分ほど電車に揺られ、花巻に到着した。今日はゆっくり寝よう・・・。


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