『山の上ったら山の上 みちのく一人旅'99その10』
(2003/06/02)

 ここまで、結構な距離を自転車でこいできた僕の目の前で無情にも案内の矢印は紛れもなく、その坂道を指しています。
 
 ここを上るのか・・・・
 
 意を決して坂道に向かってこぎ始めました。そこは小さな山になっているのです。ひぃひぃ言いながらこぎ登り、しばらくすると、まず「宮沢賢治童話村」が見えてきました。汗まみれになりながら、上ってくる様子を駐車場入り口のおばさんの
警備員が見ていたようで、
 
      自転車でここまで来たの?
 
 と聞かれてしまいました。そしておばさんはニコニコしながら、
 
      賢治記念館はさらにこの上よ(^^)
 
 と追い打ちをかけるせりふをおっしゃりになったのでございます。
 
 僕がこけそうになったのは言うまでもありません。しかしそれだけではなく、どう行けばゆっくり上がれるか、など親切に教えてくれたのでした。感謝、感謝。
 
 少し行ったところにイーハトーヴ館の駐車場があり、そこから山頂に向かって森が整備されていました。そこは山全体が「宮沢賢治 童話の森」として整備されているのでした。その森の入り口から下に下る階段をほんの少し降りたところに「イーハトーヴ館」がありました。
 
 入ってみるとそこは記念館と言うより、宮沢賢治研究用の施設と言う方が当たっていました。書籍の販売、宮沢賢治アニメの常時上映、資料関連の図書室等々、一日二日は時間を作ってこもりたくなるような施設です。ざっと一通り見てそこを後にして賢治記念館へと向かいました。
 
 結構急な坂道などを経て山頂に到着。時間も昼を回っていたので、食事をとることにしました。そこには「山猫軒」というレストランがありました。この名前にピンときたら、結構通ですねぇ。「注文の多い料理店」に出てくる料理店の名前なのです(^^)。
 
 僕なんか「太ってて若い(?)」から好条件ですねぇ。
 
 もちろん食べられる心配はない、ふつうのレストランです。(当たり前か)ここで僕はイーハトーヴ定食を頼みました。これが結構美味しかったんです。すっかり満足して、いよいよ賢治記念館へと行きました。
 
 賢治記念館、結論から言うと、来てよかったです。展示も見やすく分かり易かったですね。いろいろな角度から、人間 宮沢賢治に光を当て、その人物像を浮き上がらせていました。ここは必見だと思いました。
 
 中を一通り見た後入り口で宮沢賢治関連の書籍、自筆原稿のファクシミリなんかが売っていました。そこで僕は、記念館発行の書籍、もしくは一般書店では入手が難しそうなものに絞って、数冊購入しました。(このせいで、ぐっと荷物が重くなることに・・・・)
 
 その後もと来た道を下ろうとしたとき、この山を含めた森などが、宮沢賢治の童話世界をかなりイメージして整備されていることに気がつきました。山頂からの景色もすごく良いのです。文章ではうまく表現できませんが、雰囲気をうまく作っているなぁと感じました。それはすぐそばにある童話村も含めてのことです。
 
 最初この坂を見たときは、げ〜〜!と思いましたが、すべて見終えて自転車で山を下るとき、「うん、よくできてる」と納得したのでした。


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