日々つれづれ
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2001年5月27日(日)
私が歌う理由(わけ)9

転機
 
僕の高校生活はラグビーから始まった。
 
出だしはそんなに悪くなかったと思う。
走り込みや筋力トレーニングも楽しかった。
すべてが初めてだったので、
それなりに楽しかったのだ。
 
高校1年最初の中間試験も終わり、
部活動が再開された頃、
左太ももの裏に変な違和感を感じ、
それがやがて我慢できない痛みに変わった。
 
医者に行ったところ診断の結果は肉離れだった。
 
こういう時どうすれば良いのか、
どうすべきなのか僕には良くわかっていなかった。
 
とりあえず部活をしばらく休むことにした。
こういう時、本来なら、
運動部の「常識」に沿う形をとるとするなら、
練習には出て見学というのが本筋だったようだ。
 
そんな「常識」を知らなかった僕は
しばらく部活を休んでしまったのだ。
 
その結果、練習の遅れだけでなく、
他の同学年の部員との
精神的な距離もできてしまったのだった。
 
つらい経験やしんどい経験を共有する事で生まれる
連帯感からは少し外れてしまったのだ。
 
1ヶ月もすると回復し走れるようになったけれども、
ある種の阻害感は消えることが無かった。
そんな中でも夏休みの練習は何とか乗り切った。
 
 #体重がもっとも軽かった頃
 #55kgしかなく、そこそこ筋肉質だった
 
でも、体育祭の準備が始まる秋口に
結局僕はラグビーを辞めたのだった。
 
結局その差が埋まらなかった。
同期の連中も他人にかまっている余裕は無かったんだろう。
みんなラグビーは初めてなんだから。
 
顧問には勉強を理由にと告げたけれども、
それが原因でないことは顧問も気が付いていたようだった。
 
それを証拠に成績はこの後下降の一途を辿ったのだから。
 
ラグビー部のメンバーの何人かは辞めた後
教室まできて話をしにくるものもいたけれど、
僕に戻る意志はなかった。
 
十代の中でこのころが一番どん底だった。
自分はこのまま、
何をするにしても
途中で投げ出す人間になってしまうのではないか?
そんな恐れで気持ちが一杯だった。
 
こうして次にやりたいことが見つからないまま
季節は秋になり、高校に入って最初の誕生日が
過ぎていった。


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