日々つれづれ
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2013年8月5日(月)
映画放談「25年目の弦楽四重奏」

見てる最中に思ってたこと、
演奏会前に何をややこしいことを・・・。

そのややこしいことは、
実に人間臭くはある。

自分の場合は、日中の仕事の後、
音楽に関わっている。
起きている時間だけを考えた時、
その比率は、3割も無いだろう。

その自分の現実の立場から見ると、
演奏会が近いのに、一体何やっとんねん、
なのである。

昼間の仕事が技術職、研究職で
しかも機械関係というのも関係するかもしれないが、
昼間の職場で、あんなことになるのは
少し想像しづらいし、
なにより、仕事にならん。

なので、途中からは
「あーあ」
という感じだった。

でも、描かれるのは専門の演奏家である。
だから起きている時間の8割以上が
音楽なのである。
そういう場では、あるのかなぁ・・・。

そういう世界は想像でしか無い。

完璧に見えた四重奏楽団でも、
危ういバランスの上に成り立っていて、
少しのきっかけで、隠されていた、問題が噴出する。
そんな話すらしてなかったんかい!
ということもあった。

一見ハッピーエンドには見えるが、
実はなんの解決もなされていない。
問題が先延ばしにされただけ。

その辺が変にリアルといえばリアルであった。

個人的には「ふーん」で終わった映画だった。
原題の「Late quartet」の方が
しっくり来る内容だった。

2013年8月19日(月)
浮世絵の夏 −納涼と花火− 〜国貞、国芳、広重ら 人気絵師の競演〜 - JR KYOTO ISETAN

実に面白かった。
少し前に、幽霊画妖怪画の展示会にも行ったけれど、
日本画、浮世絵は面白い。

タイトルにもあるように、
納涼と花火がメインテーマで、
いろんな絵師による浮世絵を見ることが出来た。
江戸時代に、品質の良い和紙と
豊かな色が安定供給されていたことに
感動を覚える。
そもそも、海外に伝わったのは、
ものを運ぶ時の包み紙にしていたって話だから、
今で言う新聞やチラシくらい
潤沢にあったということだろう。

その中で、僕の琴線に触れたのは
歌川国芳だ。

彼の絵からは、風を感じた。
他の浮世絵が「絵」なのに対し、
歌川国芳の絵だけは、
「時間」が切り取られていた。

明らかにそれを意図して
描かれているのを感じ、
僕はすっかり気に入ってしまった。

図録以外にも本を買ったが、納得。
僕は以前から歌川国芳の絵が気に入っていた。
妖怪画の「がしゃどくろ」は国芳さんだったのね。
それが確認できただけでも、
今日はごきげんである。

2013年8月31日(土)
映画放談「マン・オブ・スティール」ファンタジーを手放したスーパーマン

個人的に記憶にあるのは
クリストファー・リーブが演じていた
スーパーマンシリーズだ。

彼の演じるスーパーマンは、
浮世離れしていて、
いわゆる白馬の王子様タイプで、
どこかしら、おとぎ話の登場人物のようだった。

クリプトン星のテクノロジーも
クリスタルと白を基調にした、
これも、やはり、おとぎ話の世界のようだった。

敵役のレックス・ルーサーもどこか憎めない
人間臭さと、その部下の微妙なマヌケぶりに、
寓話のような笑いがあった。

しかし、今回の映画
「マン・オブ・スティール」は
良くも悪くも別物になっていた。

クリプトン星は
クリプトン星人は、
独自のテクノロジーを発達させ、
居住可能な惑星を植民地化する、
生き物としての異星人で、
おとぎの世界の住人ではなくなった。

フィクションとして実在する、
生物になった。
(言いようとしては矛盾をはらんでいる)

敵役に人間臭さはなくなり、
敵側の正義が生まれた。
そこにファンタジーはない。
そして笑いもない。

地球人として苦悩するクラークケントと
クリプトン星人の義を通そうとする、
生き残った者たちとのぶつかり合い。

観ていて、原作の方の風の谷のナウシカを
彷彿とさせる場面もあった。
中盤から後半にかけての戦闘シーンは、
本当に戦闘シーンであり、
特に、クリプトン星人同士の戦いは、
MATRIXの3作目のラストの戦闘を思い起こさせる。
(=ドラゴンボールの戦闘シーン)
ここに、地球人の介在する余地はない。

人間では無理でも、スーパーマンなら、
余裕で手助けしてもらえる的なシーンは
ほぼ無い。
それらしいシーンもあったが、
スーパーマンは自分のことで手一杯で、
助けには来ない。

それでも、これはスーパーマンの映画だ。
未知のものに対する態度、
正義のあり方、
力を持てる者の振る舞いとは、
正義を貫く時、得るもの失うものとは。

2013年のスーパーマンの映画だ。

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