1997/4/7
<バッハ研究者の小林義武先生をお迎えして>

(今回の担当:Sop倉橋史子)

4月6日の日曜日の午後、私達は、最新のバッハの研究で有名な小林義武先生を
お迎えして、「バッハのモテットについて」の講義を聞きました。
(今回は、我が姉妹合唱団である「和歌山バッハ合唱団」のメンバーも
参加して合同で行いました。彼らは19日にバッハを演奏します)
外部から先生をお迎えしての講義は、久しぶりだった為、
皆少し緊張気味でしたが、お休みの日の昼間という事もあって、
どこか開放感が漂い、嬉しそうでした。
やはりビジネスのない日の皆の顔は、いつもより生き生きして見えます。

小林先生は、一見にして「学者さん!」とわかる雰囲気を持った方で、
私達の多大な期待を察知してか(とにかく、すごいパワーなもんですから)
最初、ほんの少し緊張されている様にも感じられましたが、
ときおり見せられる、少年(失礼・・お許し下さい)の様な笑顔に、
私達は安堵感を与えられました。
本当に音楽を、そして何よりバッハがお好きなのだなあと、感じさせられた、
素敵な笑顔だったものですから。
しかし、講義が始まり、ひとたびバッハについて話し始められると・・・
やはり・・すごいんですよ!
大変興味のある史実が、淡々と、そして流れる様な口調で、語られるのです!
頭の中に詰まり込んだ学識を、まるで「歴史の語り部」の様に
私達にお話し下さいました。
講義の内容は、主に「モテットの歴史」「音楽史におけるモテットの役割」
「バッハのモテットの内容と真偽」などです。
その中で、私が特に興味深かったのは、「モテット」とは何か?という定義は、
非常に難しい、と言われた事(時代によって変わるので定義しにくいと
おしゃっていました。それでどんな音楽大事典にも、はっきりとした事が
書かれていないのだと、今までの謎が解けました)。
それから小林先生が旧東ベルリンの図書館の倉庫で
バッハの自筆譜を発見された時の話。
「えんとつ掃除」する時の様に真っ黒になって、探し出されたそうです。
これってホントに歴史的な大発見ですよね!
この話をされた時の先生の笑顔は本当に嬉しそうでした。
こんな話を身近に聞くと、まだまだ新しい事が、発見されるかもしれないんだ!
と、ワクワクしてきます!

講義終了後、小林先生に私達の現在の出来を聴いて頂く事になりました。
皆今回はきっと「ヤマ」は張って来なかったと思いますよ。
だって、まだ音出ししてない曲もあるのですから、あがいても仕方ない!と
思って、やって来た事でしょう。
結局、ほとんど練習にかけてない「3番」(Jesu ,meine Freude)と
「1番」(Singet dem Herrn・・)をいきなりお聴かせする事となりました。
あまり練習していないにもかかわらず、おまけにいきなり難曲を指定されたのに
皆、なぜか嬉しそうでした。変な人達でしょ?
やっぱりバッハが好きなのです。
皆、本番さながらの“本気”でもって、歌っておりました。
お客さまが見えると、なぜか、がぜん張りきってしまうのが我が団の特徴であります。
(ホント困ったモンです・・)
ハモリは今一つかと思われますが、ポリフォニーの面白さは出せた演奏だったと思います。
小林先生から拍手を頂き、嬉しかったです。

今週の週末の合宿に向けて、明日から急上昇で練習のピッチが上がる事でしょう!
バッハは面白いです。楽しいです。美しいです。そして、ホントに凄いです!
難しさなんて、なんのその!いい演奏をひたすら目指したい思っています。
もちろん小林先生の講義は、私達の演奏の中に生かされる事でしょう!
ぜひ多くの方に聴いて頂きたいです!!


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