1998/8/28
<嵐を呼ぶ録音。(98/8/11)>

(今回の担当:ALT.県千晶)

今日も秋晴れを思わせるさわやかな日差しのなか、それぞれ練習場の 教会へむかいました。

昨日、本並さん(Tenor)の「あの教会で録音できたらいいですね。」
のひとことをきっかけに、観光船の片隅においてきゅうきょ結成された
「録音倶楽部」のみなさんによって、ドイツ演奏旅行の記念となる音源が
のこされる、大切な1日です。(しかし1日では終わりませんでした...<後日筆>)

朝の練習は9時から始まります。
ところで、今回の旅行中、先生の提案により、練習にそなえ、振り付けに、
夏合宿中のエアロビ(!!)指導にと、大活躍中の田坂「えっちゃん」先生(Soprano)をお迎えし、
みんなが輪になって「準備体操」をしている光景がよくみられました。
そのあやしくもほほえましい光景は、その度地元の人々の注目を集めるのでした!?...

この日もそうしてウォーミングアップが行われ、いよいよはじまるぞ!
というときに、倉橋さんの音取りハミングとともに「ハッピーバースディ」 の大合唱が..

シュッツでは、団員のお誕生日に「ハッピーバースディ」を歌ってお祝いす るのですが、
この日は私の誕生日だったのです! -- その光景と響きは、感謝の気持ちとともに貴重な一生の思い出となりました。(私事で失礼いたしました..)

さて、録音の開始です。
ここで私たちは、予想以上の戦いをしいられることになったのです..
その相手の名は..「ひこうき」「じどうしゃ」の「エンジン音」でした!!
特に飛行機は日本では考えられないほど頻繁に上空を横切るので、必死で歌い、
「いまの演奏でイケたっっ!?」と最後のフレーズにさしかかった瞬間、
「ごおお・・・ん」という轟音とともに、
倶楽部のメンバーから「だめ-」サインがでてしまうという悲劇が何度も繰り 返されたのです。

しかし。そのことによって演奏が盛り下がることはありませんでした。
むしろ満足の行かなかったところに、次のテイクでトライしよう!という意気込みが 強まっていったのです。

この日、演奏曲目の一部(ラッソの「Tristis est anima mea」、バードの 「Ave verum corpus」など)が録音されましたが、 圧巻はブラームスの「祝辞と格言(邦題)」というダブルコーラスの曲だった のではないでしょうか。歌詞に豊かなメッセージを持たせる、ブラームス特有 の「超」重厚かつ繊細な響きと、この世のものならぬ美しい旋律が描かれた名曲 なのですが、この響きをつくるためには、相当の体力・集中力を消耗します。
特に男声は絶対数が少なく(セカンドテノールは2名!!)、知力・体力ともに 想像を絶する努力を重ね、
20人強の女声の響きを支える姿にいつも感動し、考えさせられます。

また、あらたな試みとして、室内合唱団以外のメンバーのみによる演奏も録音 されました。
「室内合唱団以外の人自身がその演奏を聴くことにより、室内合唱団との演奏 の違いを考える」という目的のもと、緊張した空気の中で行われました。
録音後、先生からコメントを頂く中「ひとりひとりは本当にがんばっているし、シ ュッツ合唱団そのものの響きもたくさん聴こえてきた。
違いはそういったところにあるのでなく、横で歌っている団員どおしのコンタクト(=信頼関係)にあるのでは」というところで、特に空気が変わり、皆が更に真剣な面もちでお話をきいていたことが印象に残っています。

かくて1日は瞬く間に過ぎ去り、明後日の午前中に録音を続行することとなり ました。
明日から3連続の演奏会です。
みな、早く休んで明日以降に備えるかとおもいきや、数人はホテルのプールに。
今回の旅行でついに超・強力なキャラクターを披露してくださるにいたった瀬尾さん(Bass)をはじめ、
なななんと倉橋さん・長井さんをも含んだ「うずまき会」を結成、一列に歩き回ってプールに巨大渦巻きを出現させたり、「仰向け平泳ぎ」・「いぬかき」大会ももよおされていたとのこと。

演奏旅行後半の炸裂ぶりを予感させるに充分なひとこまでした。

(了)


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