1998/8/29
<とても長い一日。(98/8/12・Rathenow)>

(今回の担当:SOP.今村和泉)

8月12日。
この日はRathenowでの演奏会の日。3日間演奏会の続く初日です。
合唱団は前日からのCD録音の続きで、午前中Insel教会にて録音どりを 行いました。
教会の響きは心地よく、皆良い演奏を残そうと頑張るのですが、
やはり曲の終わりで静かになったときに「ぶ〜ううん」教会の外からセスナ飛行機の 音がして、演奏内容以外のところで何回も邪魔が入り、残念な事も何度か ありました。
(PoulancのAve verum corpusを何度歌ったことか・・・)
この日BachのDer Geist hilft unser Schwachheit aufの録音をしましたが 本番とは少し違う緊張感のなか、とても集中した演奏ができたように 思います。
これは邪魔は入らず1回でOK!集中していただけに、ほっとしました。

録音は12時まで。ホテルに戻り、昼食の後バスでこの日の演奏会場 Rathenowへ移動です。
13時に出発しRathenowに着いたのは14時半。
さすがに、前日からのCD録音の疲れが出たか、私は思いきり寝てしまいました。
(バスが結構揺れるので何度も窓枠に頭をごんっとぶつけるのですが、
めげずに眠り続けていました。ちょうど後ろに座っていらした先生は あまりの音に痛くないのか心配されていたそうです。>すみません”)
他にも何人ものメンバーがこの1時間半を睡眠にあてたようです。
バスの中はとても静かだったという話を聞いています。

 RathenowのSt Marien-Andreas教会は石畳の小さな住宅街の中にありました。
煉瓦づくりの落ちついた建物でした。中は祭壇から見て横に少し広い四角い 空間。
そして祭壇の後ろに円筒形の大きな空間があり、そのステンドグラスを 修理中でした。
「ガンガン」と修理作業の音が響いていましたが、そんなことは おかまいなし(?)リハーサル開始です。
教会の響きをつかむのに大分慣れてきたのか、さほど時間はかかりませんでした。
この教会でのシフトは前回の演奏会で採用されたシフト>命名 ベルリンシフトになりました。
しかし、問題浮上!このベルリンシフトは男声が前にならび、女声が後ろ、 最後列にソプラノのメンバーが並ぶのですが、男声の頭で指揮が見えないのです。
この教会の祭壇には階段が少なく段差をつけることがあまりできません。
困っていると小野さんが木造のふるめかし〜い長台を運んできました。
「これって乗ったらつぶれないかな。」と言いつつ乗ってみるソプラノメンバー。
まわりから「そっと乗らな危ない」「人数減らしたら?」「板がしなっている!」 と言う言葉にもめげずに乗りました。
乗っていると横板がしなり、動くと揺れます。 「大丈夫かなあ」と思っていると、ステマネの小野さんがどこから持ってきたのか煉瓦をいくつも持ってきて、しなっている横板の下に積み上げて支えを作ってくれました。
小野さんの逞しさを感じた一件でした。

この日のプログラムは5回の演奏会の中で唯一、「宇宙について」の入った オルガンなしのプログラムでした。
私の所属するセカンドソプラノのなかでは「ブラームスの後のバッハはきつい」
「いや、その後ペルト歌ってブリテンもすごいよ。それから宇宙についてやで〜」とちょっと脅しをかけるように励まし合っていました。

本番、たくさんのお客さんがいらしており、合唱団の入場を拍手で迎えて 下さいました。
最初のプログラムのシュッツの「Das Wort ward Fleisch」の後から早速大拍手、お客さんの表情は明るく楽しそうでした。
合唱団の方も「にこやかに、明るい演奏会にしたい」という先生の言葉もあって そのような雰囲気になれたのかもしれません。 もりだくさんのプログラムを次々と演奏し前半終了。
乾燥した空気のせいか、緊張のせいか、喉はからから。
でも私は満たされた気持ちで後半の「宇宙について」に臨みました。他のメンバーも 表情が明るかったし気合い満々でした。
演奏中お客さんは訳詞に目を通しつつ興味をもって聴いて下さいましたが馴染みのない言葉や響きのせいか、曲の途中、前半よりも反応が薄いように感じました。何だろう?というようなちょっと不思議そうな顔も見えました。
しかし、すべてが終わったときにそれが否定的なものでは無いということが明らかになりました。ほとんどの人が立ち上がり、にこやかに、しきりに拍手を送って下さいました。

うちあげ(?)ではこの辺の家庭料理だというとてもおいしいスープを 頂きました。
トマト味のシチューのような感じです。
なごやかな中、この演奏会でお世話になった教会の方々に、アンコールの追分節考のうちわの文字と歌との関係の紹介が始まりました。先生の「お!」「い!」「わ!」「け!」と続くかけ声のあと、それぞれが歌いだします。演奏会中とはひと味違うリラックスした歌で楽しかったです。そしてお礼の意味を込めてブルックナーの「Locus iste」を歌いました。

ホテルに戻ったのは深夜。ながいながい1日はやっと終わりました。
とても疲れて眠くてへろへろでしたが、気持ちはいっぱい!
この日をやり遂げたことで、後の2日間の演奏会に自信が湧いてきていました。
                          (SOP.2 今村和泉)

         (◯)   (◯)
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ 
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          \__σ__/=З 
       ほっとするHAHAGUMA


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