1998/9/12
<ドイツ演奏旅行特別編・後編「ああ、哀愁の鐘ひとつの巻」>

(今回の担当:BASS.長井洋一)

録音倶楽部の最初の大仕事、8月11日まるまる一日かけての録音も無事終わり、 午後6時に、録音会場である教会をでました。すると、“かんかん”、“ごんごん” いや“がらんがらん”なんと表現したらいいのかわからないんですが、教会の鐘が鳴 り始めました。
その、鐘の音のすばらしいこと。町中がとても静かなこともあって、 本当に良く響くんです。 そこで、くまさんはひらめいた!「よし、この音を録音しよ う! CDはこの鐘の音からフェイドインしフェイドアウトしたのち、シュッツの宗 教合唱曲集の17曲目のDas Wort〜〜! と始める。う〜〜んかっこいい。 」と勝手なことを考えておりましたところに、コーアマスターの倉橋さんがやってまいりまして、「この鐘の音を録音しない?」と言われたことも相まって、この鐘の音を録音することになりました。いま思えば、この時すぐに録音機材を出して録音したらよかったのですが、すぐに鳴りやんでしまうだろうからと思って、ホテルに帰ったのですが、なんと10分間も鳴り続けたのです。
実はこれが、悲劇の始まりでした。

翌朝、私が歯を磨いておりますと、なんと教会の鐘が鳴り始めました。
時刻は午前7時20分! そこで私、くまさんは、「毎朝7時20分に鐘が鳴るんだ!  明日の朝は録音だ!」と決意したのでした。
次の日の朝、録音倶楽部のメンバーは7時前にはホテルを出発し、セッティングを し、今か今かと鐘が鳴るのを待っておりました。

もうおわかりでしょう。実は私もいやな予感はしていたんです。7時20分になっ ても鐘は鳴りません。まあ、ちょっと遅れてるのかなとは思いつつ、みんな不安に思 いながらそれでも待ち続けました。
ちょうど、7時30分、ついに鐘がなりました。DATのテープは7時15分頃か ら回っています。

録音成功!!! と言いたかったのですが、その鐘は、「かあぁぁぁ〜ん」と一発 鳴っただけだったのです。

 「かあぁぁぁ〜ん」・・・・「Das Wort〜〜!」
これじゃ、NHKのど自慢の残念賞になってしまう。めちゃめちゃかっこ悪い!!

  近所の人に聞いてみましたところ、いつも7時20分に鳴るわけではない。昨日は 何かの行事があったために、特別に7時20分に鳴ったんだろう、とのこと。
録音倶楽部、失意のうちにホテルに帰ることとなりました。

しかし、ここであきらめたら録音倶楽部の名がすたる!委員会への昇格もない!(笑 )と思い、翌日、教会の事務所にいつ鳴るのか聞きに行くことにました。
最初は教会の鍵の受け渡しのついでに代表の飯沼氏(フランス語が話せる)と副代表の中橋さん(英語が話せる)で聞いてもらったのですが、どうもはっきりしない。どうも、ドイツ語しか通じないようで、この日は通訳のライナーもいないし、仕方がないので録音倶楽部顧問の私、くまさんが、つたないドイツ語で挑戦することになりました。聞いてみますと、どうやら、夕方の6時又は5時半にしか鳴らないとのこと。しかしこの時間帯は、私達は演奏会の真っ最中で鐘の録音は出来ない。そこで、何とか今日昼の12時に3分間でいいから鳴らしてくれ!、とお願いすると、しぶしぶ承諾していただけました。ラッキー!!結構通じるやんけ!!と思いつつ、初めて顧問らしい仕事をした気分でした。

この日の、12時になりました。録音倶楽部は、5分前にはセッティングを完了さ せ、今か今かと待っておりました。12時になりますと自動的に鳴るのかと思ってま したら、ドイツ人の中年のおばさんがやってきて、教会内の電源を入れて鳴らしてく れました。

 今度こそ録音成功!!!

一応、ちゃんと録音できているか聞きましたが、それはすん〜ばらしくいい音でした 。

今度、ドイツ演奏旅行記念CDが発売されたあかつきには、この鐘の音もきっと入っ てるでしょうから、お楽しみにしておいてください。

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          KUMASAN 

 


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