1999/4/10
<ついに明日、発売!新作CD "From German Churches"
〜聞くも涙、語るも涙な制作うら話〜>

(今回の担当:SOP.小野容子)

今回は、「シュッツの会便り」[事務所日誌]からの転載です。
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それは新作CD "From German Churches"に収録してある
ブリテン「セシリア賛歌」の歌詞掲載についての一件です。

曲については日本著作権協会というところが一括して管理 しているので邦人曲も外国曲もそこへ申請してしまえばよ いのですが、歌詞については管理先が出版社によって異ります。
著作権協会から「これはうちの管轄でない」と言われたのが、 事のはじまりです。
「セシリア賛歌」の歌詞はオーデンの詩からなっています。
(オーデンがブリテンの誕生日にプレゼントした「詩」です。)
この「詩」の著作権管理をしているのがロンドンの会社だというのです。
この事実を知らされたのがCD制作も半ばにさしかかった頃でした。
「普通許諾をもらうのには2カ月ほどかかる」と言われましたが、
10日ほどで何とかしなければなりません。

「ひぇ〜、ロンドンに直接連絡とるの・・・」と半ば青ざめながら
英語の文章を団員の瀬尾さんにつくってもらってFAXしました。

1日たち、2日たち・・・連絡はいっこうにありません。
リミットは日に日に迫ってきています。
5日目、私は根性を出してロンドンへ電話をすることにしました。
「直接会って話しをするのもたいへんなのに、電話でなんて話せ るんかいな・・・」という一抹の(?)大きな不安が駆けめぐります。
コール音が聞えるや否や、交換の女性が出てきました。
「著作権について話がしたい!」というと、担当者らしき人が かわりました。愛想よく、「もう一度そのFAXを送ってくれ」とい うので、もう一度FAXしました。
が、そこからまた返事がありません。

リミットまでもう1週間を切っています!
再び根性の電話。
すると、「担当者は私ではなくてキャロラインだ。
彼女からの連絡を待て」という。
「待ってられへん、彼女にかわってくれ!」と
しどろもどろな英語で言うと
受話器を外して「めんどくさい電話だ」みたいなことを
言っているのが聞えてくる。
(こんなところだけ何故か聴き取れてしまうから、不思議です。)
彼女は「とにかく、連絡を待って!」というと、
ガッチャン!!と電話を切ってしまいました。

やはり何言ってるかよくわからない日本人からの
電話はめんどくさかったのでしょう。
しかしこのままでは「セシリア賛歌」の歌詞をブックレットに
掲載できなくなってしまいます。
これではまずい!!もうお願いするしかない!!
「ほんとに許諾をしてくれへんかったら、困るんです!!」と、
懇願のFAXを送りました。これで何の反応もなかったらもう
諦めるしかありません。最後の望みをこのFAXに託しました。

翌日、E-Mailで返事がきていました。
し、しかしそのメールには、こう書いてあったのです。
「この件についてはニューヨークのデビッドバーバーが担当だ。
彼に連絡とってくれ」

・・・こ、こんどはニューヨークか〜・・・・

リミットまであと3日。時間はないけど気が遠〜くなる・・・・

しかし、彼デビットはとてもいい人でした。
FAXを入れた翌日、許諾OKの返事と共に
掲載するクレジットをFAXしてくれました。
まさにリミット前日にして手にした許諾でした。

ロンドン、ニューヨークをまたにかけ
CD"From German Churches"は出来あがりました!!
4月11日の「四季」の演奏会当日、初売り出しを致します。
是非、いずみホールにてお手にとってみてください。
ご来場、お待ち致しております!!


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