2003/4/14
<4月20日は「メサイアの日!!」>

(今回の担当:Sop. 安藤朋子)

 宗教音楽を歌っていると、作曲者が違っても同じような単語がよく出てきます。同じ事物を扱うことも多いのですから当然です。単語が分かると内容もおぼろげながら分かって来ます。しかし時に、曲は知らないはずなのに歌詞がよく分かる事があります。「なぜ?」と考えると、それは知っている曲と同じ所から聖書の言葉を採っていたからなのですね。テキストが共通なのでした。

 メサイアにも、その様な曲がいくつかあります。
 例えば11曲目の合唱“For unto us a child is born”とハインリッヒ・シュッツの“Ein Kind ist uns geboren”は同じテキスト(イザヤ書)です。シュッツの「ガイストリヒェ・コーアムジーク(宗教的合唱曲集)」の16曲目と「クライネ・ガイストリヒェ・コンツェルテ」の21曲目です。
 「コーアムジーク」の中の曲は、始まりは優しく、次第に確信に満ちたものとなってゆきます。「コンツェルテ」の方は優美ながら軽快に始まり、これも力強くなってゆきます。これらに比べ、メサイアは明るく華やかな感じですね。途中、印象的なヴァイオリンと共に「Wonderful!」と力強く賛美の限りを尽くします。
 ヘンデルとシュッツでは雰囲気はかなり違いますが、どの曲も女声から始まるのが共通しています。この時代はボーイソプラノとカウンターテノールで、女性ではなかったかもしれませんが、とにかく男声は最初からは出てきません。やはり「男性的」には始めたくなかったのでしょうか。
 「コーアムジーク」の曲は去年の12月、ルーテル教会のクリスマス・コンサートで演奏しましたから、お聴きになった方もいらっしゃるでしょう。
 この他に12曲目のソプラノのレチタティーヴォから15曲目の合唱にかけてのテキスト(ルカ書)は、ご存知バッハの「クリスマス・オラトリオ」やシュッツの「クリスマス物語(SWV435)」に同じ部分があります。聴き比べてみてはいかがでしょうか。

 私はクリスマス・オラトリオのCDを聴きながら「今は時期はずれだな」と思いました。しかし、こう思い直しました。クリスマスは、一説によると冬至の祭り、即ちこれから日が延び始め春が近づいて来ることを祝うお祭りに起源があるともいいます。一方、イースターは春(3月下旬〜4月中旬、年によって日が違います)。野山に緑が芽吹いて花が咲き始める頃のイースター。この時もまた、命の喜びにあふれているのではないでしょうか。両者に私は何かつながるものを感じました。

 私達の演奏も、イースターの気持ちに適うような喜びあふれるものとなるでしょうか。是非そのお耳でお確かめください。


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