No.560 '04/8/30

「マグデブルク大聖堂(Magdeburger Dom)」演奏会


さて、8月11日いよいよ5回連続演奏会の第一日目、「マグデブルク大聖堂」での演奏会です。
この朝、地方紙「ポツダム」に合唱団の写真がデカデカと掲載されていました。これは私も知らなかったのですが、昨日のMDR(ラジオ)のインタビューの時にそれとは別に紛れ込んで写真を撮っていた人物がいたんですね。これがどうもその新聞のカメラマンだったようです。

午前中練習をし、午後2時30分バスで移動、マグデブルクへ。
4時前、トイレ休憩でバスはアウトバーンのパーキングへ。
ここで皆はドイツでのトイレ実習です。(笑)
お金を払ってのトイレ。トレイの前に徴収役の人が立っていて、小銭を入れて使用します。
これ、私もなかなか慣れないのですが、いくら払えばいいか、これも悩むところです。一応、ドアやテーブルにいくらと書いてあるものの、慣れないし、我々の感覚では高い!ということになるんですね。
環境のことを考えると<反対>とは言えないのですが、我々日本人からすれば「なんで払わなきゃいかん!できるだけ値切ってやれ!」ということになるらしい。(笑)
まぁ、この習慣の違いは事が事だけに、無視できないやっかいなものです。(小銭がなければ用を足すことができないのですから)
解決策の一つは、お店に入ること。買いものや飲食をするとタダになることが多いです。(笑)

さて、バスは4時50分頃マグデブルクに到着。
先ず大聖堂を見て、その大きさに驚嘆。
外壁は工事中(期間も長いだろうなぁ、と想像。ため息です)
オルガニストの晴美さんは先に行っていて練習中と聞いていたのですが、テレビが入っていて遅れているらしい。
大聖堂に入って準備にかかります。
またまた、トイレの話で恐縮なのですが、こういった古い建物はトイレが完備されていないことが多いんですね。
団員が使用できるは二つだけということらしい。(男女一つずつ!)
また、中は迷路のようになっていて、どこの扉を開けて良いのか、最初は案内してもらって部屋に入れても、二度と同じところに戻ることが出来るのか(笑)、これが問題なんです。(後のレニンの修道院もそうでした)

ここで大聖堂のことを。
ドイツ16州の一つ、ザクセン・アンハルト州の州都マグデブルク。
この街の起源は古く、今からおよそ1200年前だそうです。
初代神聖ローマ皇帝オットー1世(大帝)もこよなくこの街を愛し、大聖堂も自ら指揮して建設したと言われています。
残念ながら、大帝が建設した大聖堂(ロマネスク様式)は13世紀に火災で焼け落ちるのですが、その後ゴチック様式で再建され現在に至っている、という気の遠くなるような軌跡をたどることが出来るドイツ最古(968年)のゴチック式ドームです。

そういった名所ですから、この日は聖堂にテレビカメラが入っていて(今度はライプツィヒのMDRテレビ局です)特集番組のための収録をしていたそうです。
私たちのリハはそのため少し遅れました。
我々のリハも収録され、放映されると聞いたのですが(我々のシーンは少しだけ、という話です(笑))、さてどんな番組だったのか?

大聖堂のデカさ・・・・・・・・・(沈黙)(笑)
どう声を飛ばせばいいか、どう対処すればいいか?もう気が遠くなりました。
真ん中ぐらいまでは、何とか音響も団子にならずに聞こえます。
しかし、真ん中から後ろではどうやっても不鮮明になる。もう響きはごちゃごちゃ。これではポリフォニーの早い曲は演奏できません。
そこで、お客さんを前の方に集めて、後ろには座らせない(後ろの座席を取り払いました(笑))、ということにしました。
幸か不幸か、本番ではお客も前の席で充分という入りだったので(笑)、私の意図は的中。
良い演奏ができました。(後で録音を聴いた者もなかなかのものだったと言ってました)
ヘトヘトで本番終了。

今から思えば、最初の演奏会が「マグデブルク」で良かったと思いますね。
あのデカイ、広い大聖堂を経験することで、それ以後声の飛ばし方に苦労することも少なくなりました。
後のベルリン大聖堂ですら、「狭い」と思ってしまいましたから。(笑)

聴衆の反応は良かったですね。
やはり一曲一曲、進むほどにこちらに傾けている集中度が高くなっていくのを感じます。
広い大聖堂の長い残響も心地よく、武満の「風の馬」など今まで聞こえてこなかった倍音など、新しい響きをいくつも聴き取ることができました。
初めて演奏旅行に参加した合唱団には是非とも体験して欲しかった響きです。これは絶対に日本では体験できないことなんですね。

さて、第一回目の演奏会はクタクタのうちに終わりました。(笑)
その戦慄的な体験が翌日、そして翌々日にどう響いたか・・・・。
次回は「夏の音楽祭」のゲストとして招聘を受けた「レニン」と「ツィナ」の両演奏会の報告です。
(ここで実はとんでもないことが起こったのです・・・・)

No.560 '04/8/30「「マグデブルク大聖堂(Magdeburger Dom)」演奏会」終わり