No.607 '06/01/30

「医混」と「エヴァ」の定演感想


感想を書くのが遅くなりましたが、記録という意味でも書いておこうと思います。
どちらも充分な内容の演奏を繰り広げてくれました。
指導する者にとって、どちらもとても素敵な一夜となりました。
感謝と少しばかりの自負、その後飲んだお酒がとても美味しかったことが思い出されます。

14日、「医混」の定期演奏会。会場の「しらかわホール」(素敵なホールですね)

名古屋大学医学部混声合唱団 第49回定期演奏会
2006年1月14日(土)しらかわホール:開演18:00

「医混」

第一ステージは「トマス・タリス&ウィリアム・バード」の作品。
指揮は上田一仁。 良い演奏でしたね!(少し涙が・・・・・・胸いっぱいになりました)
しかし、練習を見に行ったときは、正直言って心配でした。(笑)
モテットの様式感も乏しく、宗教的雰囲気も伝わってきません。
どうしてよいものやら。
ちょっと私が振ってみるしかなかったんですね、あの時は。

しかし、演奏会当日のゲネを聞いて飛び上がるほどビックリしました。
様式感も雰囲気も立派になっていたんです。
上田くんの棒も縦割りの棒からグレゴリオ聖歌を振るときの波、ラインの棒に変貌です。
合唱も自ら曲の中へと入っていく歌声。見事な宗教的世界を響かせました。
そして特筆すべきはハーモニーですね。
私が提唱する「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」の響きが各バートから聞こえてきたことです。
当然倍音の響きがホール全体に響き渡りました。どの席で聞いても均一のふくよかなハーモニー。そして明るいその響きは彼らたちの若々しさをも表現していて、思わず唸り、少しばかり涙をこぼしてしまいました。

第二ステージは正指揮者の富貴原 淳
木下牧子「春の予感」より5曲を演奏したのですが、これは大健闘したと評価するも、なにせハーモニーが難解、とても難しい譜面なんですね。
これはそう簡単にはいきません。(笑)
よく頑張ったのですが、音を追うことでいっぱいのような演奏になってしまいました。
しかし、大学生の演奏でここまでまとめ上げたことと、団員たちの直向きさに大きな拍手を送ります。
ここでも団員たちの向上をしっかりと確認することになった私です。

第三ステージは「企画ステージ」。コメントは差し控えさせていただいて(笑)、とにかく役者ぞろいのステージでした(ピアニストの藤本真美さんはこの日のスターでしたね)。とても楽しかったです。

第四ステージは富貴原くんによる鈴木憲夫作曲「地蔵礼讃」
よくまとめましたね。情熱的な棒、彼の真っ直ぐな音楽に取り組む姿が印象に残ります。この音楽の「祈り」が聴こえる演奏だったと思いました。
ソリストで歌った、ソプラノの池庭舞、バリトンの青木聡典は堂々として立派に役割を果たしました。なかなかの逸材です。
もう一つ、指揮をした富貴原くんに心からの大きな拍手です。そして、その棒をしっかりと受けとめ、サポートした団員たちにも大きな拍手です。
彼の棒は変わりましたね。
ということは彼自身も変わったということでしょう。
私は「地蔵礼讃」を作品として、まったくの観客としてこのステージを聴く喜びを得ました。

そして最後にステージ上で挨拶した河合佑亮。
唖然とするぐらい見事なスピーチ。
とちらず、立て板に水のごとく。内容も申し分ない気配りの、そして心のこもったものでした。
もう、最後の最後まで目を、耳を釘付けにした定演でしたね。



学生たちの素敵な舞台に、用意されていたレセプションには出席せず、静かにお酒を飲んで喜びを噛みしめていた私。

一夜明けて「エヴァ」の定演です。

大阪府立大学混声合唱団「エヴァ・コール」
第47回定期演奏会
2006年1月15日(日)17:00
堺勤労者総合福祉センター「サンスクエア堺」

エヴァコール

「サンスクエア堺」は少し狭いながらも響きの良いホールです。
スタッフも信頼を寄せる知人。
なかなか気分の良い日が続くと上機嫌の私です。
「エヴァコール」は最後のステージで私が振ることになっています。
毎年ちょっと心配なことも多いのですが(笑)、この日は違っていました。
近年にない良い出来で、心配することなく棒が振れると踏んでいたんですね。

ただ、私も振るものですから客席では聴けず、楽屋でのモニターや、ステージの脇からでしか見ることが出来なかったのが少し残念。
ですから第一ステージで振った
長山佳奈の木下牧子「光と風をつれて」も細かくは聴けてないのですね。
練習を通じてよく歌えていましたから心配せずステージ裏でエールを送っていました。(笑)

第二ステージは木下牧子「邪宗門秘曲」。
振るのは正指揮者の金山宗高。
女性が少ないのでこの曲は大変。特にソプラノはハイトーンが多いので可哀相。
でも今年のメンバーはガッツがあって、また音楽もあって素敵な人たちです。
金山くんの熱のこもった棒にしっかりと反応しています。そのけなげなこと。(涙) 男性陣たちの響きも安定してきました。数もいて頼もしい限りです。
ホールの響きも手伝って、すてきな「邪宗門秘曲」となりました。

ただ(笑)、金山くんの棒を見ていると私を見ているようで・・・・・。

第三ステージは「企画ステージ」
意表を突くステージ。面白かったですね。皆、「医混」といい役者揃い、最近の学生はやりますね〜。
客席で見たかったと、本当に残念でした。

第四ステージが私のステージです。
三善晃「木とともに 人とともに」を振りました。
三善作品を振るのは久しぶり。(ピアノ=木下亜子)
私、好きなのですがなかなか機会がありません。 今回は先にも書いたように学生たちのレベルも上がり気持の良いステージとなりました。
終了後に行われた「打ち上げ」。
大満足の私です。
二日続けての「気持ちの良さ」に酔いしれた演奏会。
これは絶対(なかなか使わない言葉ですが)記録しなければ、と強く思う私でした。(結果は今日書くことになったしだい。もう二週間も前の出来事なんですね)



No.607 '06/01/30「「医混」と「エヴァ」の定演感想」終わり