No.616 '06/06/09

「般若心経」再録音


鈴木憲夫さんに創立30周年を記念して委嘱曲として書いていただいた「般若心 経」を再録音しました。
CD制作のためのものです。
憲夫さんの「般若心経」への思いは強く、自ら制作、楽譜も販売したいとの相談 を受け、私たち(「大阪コレギウム・ムジクム」)はそのための再録を決め、こ の日に挑みました。
ホールは市内の某ホール。スタッフならびに機材を持ち込んでの録音です。
このホール、響きが良いです。
ホールのスタッフも協力的で気持ちよく収録することができました。
これからも録音に使わせていただこうと団内では囁いています。(「千原作品」 をと叫んだのは私でした)

セッティングには少し時間がかかりましたが、収録はスムーズに運びました。
テイクは全部で5。(これは少ないですね)
最初の二回はウオーミングアップといったところでしょうか。(笑)
しかし真剣でしたよ。(笑)
だんだんと響きも掴み、各パートの並びも変えて、いざ本番です。
三回目の演奏を終えたとき、皆いい顔していました。
解るんですね。上手くいったかどうか。
良くハモった。バランスが良かった。気持ちも各パート仲良くなれた。なんて 言ってます。(笑)
私が言います。
「これ決定打だよね」
「もうこれ以上歌えないし、振れないよ」(笑)
「でも、もう一回歌ってくれる?」
「ちょっと自由に振ってみたいんだけれど」
皆、ニコッとして「来ましたね!」の顔。
で、4回目のテイク取り。
演奏し終わってテイク全部を皆で聞きます。

「自由に振りたい」って、それまで窮屈に振ってたわけではないんですよ。
意識が、ねらいがまた別のところにあったわけです。
それらは大方が「良し」とするところですね。
事細かくコントロールする演奏といいますか、頭で演奏して頭で聞いて納得する 演奏、といいますか。
アラがでない演奏といいますか、安心できる演奏です。
で、それを今度はそのスイッチを切って「自由に振りたい」というわけです。
つまりスイッチを切り替えて感情の動きに会わせて即興的に音楽を作り上げていくわけです。
もちろんテンポや、表情記号や、作曲家が書いたことは全部頭に入れながら、理 解しながら、それに囚われることなく自分の感情の振りの割合を少し増やして曲 を作っていくということですね。
言うのは簡単なのですが、これが難しい。
後で聞いて、自画自賛、勝手気ままな演奏になっていれば、これ、最悪です。(笑)
客観的にも聞けて、更に感情も揺り動かされる演奏、そんなものになれば良いで すね。

一か八かの世界です!(・・・・・冗談です(笑))
しかし、ほんと一期一会の演奏です。
演奏者全部が一体となる、思いが同じにならなければなりません。
そんな演奏、瞬間、感じられたとき最高です。
音楽やっていて良かった、生きていて良かったと本当に思います。

さて4回目はどうだっか?
駄目でした。(笑)(私がダメをだしました)
最初の音楽の出は良かった、しかし、女声が入ってくるところで乱れが。
そしてダメだった決定打は・・・・なぜか原因不明のノイズが入ってしまったんですね!
演奏そのものはなかなかのものでした。
しかし、呪われたのでしょう。(笑)

「これで終わり、3回目のテイクを使用します」と私。

これで終わり、ということになるはずだったのですが・・・・・。
結論をいうと、実は紆余曲折がありまして最後にもう一つテイクを取るというこ とに。(笑)
で、5回目を録りました。

でもこれもダメだったんです。(笑)

近日中にCDが出ます。
鈴木憲夫さん渾身の作品です。
たくさんの方に聴いていただければ嬉しいです。

下の写真は皆で録り終えたテイクを聴いているところです。
皆、真剣です。

いましばらくお待ち下さい



No.616 '06/06/09「「般若心経」再録音」終わり