No.668 '09/09/23

物憂い散策?「箕面の滝」


演奏会を前にして今日はOFF日。
重たい体を起こして散策に行くことにしました。
場所は行き慣れた「箕面の滝」。

曇りですし、雨が降るかもしれないとの予報もあったのですが、美しい緑と空気を味わいたくて出掛けることにしました。
少し物憂い思いも持って。

今日は水面に映る景色が身に染みます。

いましばらくお待ち下さい

静かな水面。波立つことのない川。せき止められ、分断されたかのような川の一部分に今日は心が向いていきます。

いましばらくお待ち下さい

濃い緑にも惹き付けられ、そこに赤色の葉を見つけたならば私の心は大いに騒ぎ、疼きます。
赤色に染まった葉、そこには生きようとする力、厚顔とも見えるその美の猛々しい顕現の中に無類の孤独がある。

いましばらくお待ち下さい

曇りのなかに、少ない陽の光を浴びて輝きを放っている葉には賑わいも感じます。
この撮影場所は私のお気に入り。何層にも重なった葉に、様々な人間模様を重ねます。

いましばらくお待ち下さい

今日の滝は穏やかに見えました。
水柱のような滝。
水はまっしぐらに滝壺へと飛び込んでいきます。私の心も飛び込んで打ち砕かれていくかのような衝動。
水しぶきのつながり、飛沫のつながり。
微細の透明な玉たちは個々に飛び散りながら一つの柱のようにつながっていく。
穏やかな孤独。
それは一層悲しい。

いましばらくお待ち下さい




楽譜と対峙することは楽しい。それは私自身の内なる生きる律動を感じることだからです。
自身で演奏することは喜ばしい。それは私の内なる宇宙に浸ることだからです。
しかし「人」と向き合うことは悩ましい。
それは痛みを共有するからです。
人の心が傷つきやすい珠玉の存在と識るからです。

人に向き合う、それは深くなればなるほど悩みも深くなり、物憂い心も現れます。
光り輝く葉の中、赤くして漲る主張の孤独。
静かな水面に映る虚構の美。

勢いよく散策道を歩きました。力強く歩きました。
被写体に向かうカメラは鋭敏であれと力を込めました。
頭の中を常によぎる力強い旋律たちがありました。
今日の散策、それは「人の哀しみ」への同調でしょう。



No.668 '09/09/23「物憂い散策?「箕面の滝」」終わり