No.675 '10/05/03

ヴェネツィア二日目
「聖ステファノ教会」演奏会(写真追加:2010/07/03)


私は【共感】を求めて演奏会に臨むのだと思います。
仲間同士の共感も良いのですが、できれば仲間以外の人とも共感で繋がりたい。
日常的なコンサート!
原点を見つめた「素」(自然)の状態。そんな基調が流れる演奏会が好きです。
イタリア・ドイツでそれを確かめられたと思っています。


ヴェネツィア 第2回目(最終)の演奏会
「聖ステファノ教会」

今回の演奏会の中で、だんだんと心配になっていった教会です。
事前に情報が入らず、ヴェネツィアに入っても連絡が取れない。
大きな教会。それもゴチック様式。
宣伝されているのか、聴衆はどれほどなのか?とにかくほとんど情報が直前まで判らなかったのですね。
(しかし、ヴェネツィアでのこの演奏会は真っ先に決まっていたのですが・・・・・)

教会を訪ねて行って尋ねれば、ゲネを早めるわけにはいかないとか(5時からの開演なのに、4時からしか入れません)、
ものの移動も原則ダメ。机の使用も厳しかった。
CDを売るのもダメとの反応。
一体どうなってるの?といった感じなのですね。
アレンジをされたマルコさんもギリギリにしか来れなかった(来なかった)ですし(メンバーはマルコさんに頻繁に連絡を取ろうとしていたようなのですが)。
もう私はそれまでの疲れもあって少し怒っていました。(珍しいですよ、そんなこと(笑))

お客さんの入りも心配になってきました。
聞いてみれば、お客さんは観光客が多く、事前の宣伝も無く、当日にやっと紙の案内が置かれていたとのこと。
ロッコ君は我々のチラシを教会の前で撒いてくれていたようです。

しかし、短いながらもリハーサルを始めて見ると熱心に聞いているお客さんもいます。耳に入ってくる情報では前日のロザリオ教会からの「追っかけ」が何人もいるらしいとのこと。
そして、何とですね、リハーサルの途中から神父の様子が少しずつ変わり始めたそうなのです。(メンバーの報告です)
曲が進むにつれ、それが一層大きくなり、本番に至っては皆のことが大好きになったと、記念品をプレゼントしたいと申し出があったのですね。びっくりです!
演奏会の終了にはスタンディングオベーションでした。
教会関係者もビックリするほどの変身で、もう歓待の意志が後光を指していました。(笑)
まぁ、なんという変わりよう!
司会、インフォメーションは直前に来られたマルコさんがして下さったのですが、少し話が長い。(笑)
マルコさんの奥さん(ダンサー)も微笑みながらサポートされていましたね。

対応に怒っていたせいか「天地始之事」は第一曲目のみに。(演奏する気が起こりませんでした)
しかし、聴いて下さっていた方々の反応は私が怒るようなものでは無かったようです。
何しろ大きく、広くて、暗かったですから、正直しっかりと聴衆のお顔を拝見することが出来ませんでした。
曲が進むにつれて、そして私の近くにいた教会関係者の一変した気配から、これは尋常ならざるものと感じてはいたのですが。
そして、休憩の度に「新しい情報」が私に届けられます。
気がつけば、最後の演奏会ということもあったのでしょう、アンコールのオンパレードです。
アンコールは「春がきた」「埴生の宿」「カンターテ ドミノ」
そして、急に贈呈と決まった記念品を配られた後、なんとバーバー「アニュスデイ」を歌いました。
プログラムには入れていたものの、なかなか演奏する機会がなかった曲です。
メンバーの喉の負担を気にして、「カンターテ ドミノ」が終わった時点でメンバーに尋ねました。
その時の幾人かの「歌いましょう」との言葉、そして言葉にならない「頷き」はどんなに私を喜ばせたことでしょう。
もう、その瞬間がメンバーを「連れてきて良かった!」と心から思いました。
「演奏する仲間」がそこにいたのですね。
「信頼の仲間」がいたのですね。

終わって振り向けばスタンディングオベーション。
関係者も驚いているのが印象的。
スイス(ジュネーブ)から来た人(ご夫婦)は前日の演奏会にも来てくださっていて、買ったCDを持ってきてサインを求められました。
(それまでもサインを求められることはあるのですが、全部私は逃げていました。(笑))
特に旦那さんは体が不自由のよう、その方が「アニュスデイ」が凄かったとの言葉。
他にも沢山の人から声をかけられて、「本当に素晴らしかった」と言われます。(私は逃げ回ります。(笑))
神父さんも私を自慢げに、ジョバンニ・ガブリエリのお墓に連れていってくださる。「彼もきっと喜んでいるよ」と仰る。
もちろん、その時にはすでにCDの販売もOKになっていました。(笑)

「京都C・モンテヴェルディ合唱団」と「名古屋ビクトリア合唱団」に一層の音楽の喜びと楽しさを。
そしてチョッピリの「しんどさ」と。(笑)(「逞しさへの道」ですね(笑))
響きはパイプオルガンと一緒で、その場に行かなければ体験できません。
合唱における響き、そして聴衆の反応はそれらの国に行かなければ判らないでのですね。
今回のイタリア演奏旅行はきっとメンバーたちを逞しくすることだと信じます。
何のために合唱(音楽)をするのか?
その答えは行ったメンバー一人一人に投げかけられました。
私なら、こう応えるでしょう。
「心と心が伝わる。それは音楽(合唱テクニックや合唱という枠)を超えて一人一人に〔人間の素晴らしさ、生きてることの素晴らしさを〕と伝えること」だと。

倉橋、山本報告はこちらをクリックして下さい

*演奏しているところの写真を私は撮ることが出来ませんでした。同行者の中に取られた方がいらっしゃるかもしれません。
見つかれば後ほど掲載したいと思います。

以下の写真を追加します。(追加:2010/07/03)

いましばらくお待ち下さい

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No.675 '10/05/03「ヴェネツィア二日目「聖ステファノ教会」演奏会」終わり