No.676 '10/05/06

ワイマール(Tiefurt)での特別演奏会


私は【共感】を求めて演奏会に臨むのだと思います。
仲間同士の共感も良いのですが、できれば仲間以外の人とも共感で繋がりたい。
日常的なコンサート!
原点を見つめた「素」(自然)の状態。そんな基調が流れる演奏会が好きです。
イタリア・ドイツでそれを確かめられたと思っています。


充実のイタリア演奏旅行を終え、ドイツはワイマールのTiefurt(ティーファート)にお住まいのDr.シュタインさんを訪ねることにしました。
目的はDr.シュタインさんの著書出版のご相談です。

【Dr.シュタイン】さんのことについてはここをクリックして下さい。「マイヌング」のページへ移ります。

ドイツの空気を是非にと、数人に誘いをしたのですが、結果は17人と大所帯。
でも嬉しかったですね。またまた体験を共有できることが。
目的はDr.シュタインさんとの打ち合わせ。
しかし、数名が行くことを知った先生は演奏会をご所望。
始めはイタリアの疲れもあるし、練習も余り取ることもできないのでお断りするつもりだったのですが、
やはりやることになってしまいました。(笑)

条件は「つつましく」したいこと。(笑)
つまり大きな演奏会にはしないこと、を条件に承諾しました。
先生の関係者のみにお聴かせしたいと申し入れをしておきました。

フランクフルトからDBに乗り、ワイマールへ。
駅には先生自らがお出迎え。恐縮です。
さっそくお住まいのTiefurtへ。閑静な住宅地です。
著書の出版のお話も弾み、もう、意気投合しての前向き姿勢です。
詳しくは追々と、ということになりますが、シュッツ関連の本を是非日本で沢山の方に読んで頂きたいと思っています。

さて、お話も進み、もう気楽に静養としたいと思っていたのですが、例の演奏会が胸をチクチク刺してきます。(笑)
既に私の体と精神は「使用済み」の状態。(笑)
振り絞っての音楽との取り組みとなりました。
しかし、私が先生と出版の話を進めている中、メンバーたちはずっと練習するのですよ。
もう、頭が下がります。(でも頼もしいです)

あちらこちらに「特別演奏会」のチラシ。
「もういいのに」と思う私。(笑)
「人は少ないのでしょうね」と私。「20名くらいは来るでしょう」との返事。
それならばいいか、とばかり変に納得する私。(笑)

しかしです。
ふたを開けてみれば、その倍以上の人が集まりました。

会場は天上が低く、お世辞にも良い状態とは言えません。
でも、その代わり徹底して聴く人と目と鼻の距離で向かい合います。
気に入って頂かなければ、もう倒れるしかないですね。(笑)
本番の様子を先ず書いておきましょうか。

一時間ほどのプログラムを組みました。
しかし、それ以上になりましたね。
もう演奏がどうのこうのの話ではありません。
音楽は様々な垣根を越えて、人と人とを結び付けていくものだとの確信の演奏でした。
もう幸せの極致でしょうか。(歌うメンバーはたいへんだったと思います)
しかし私は終わってから直ぐに部屋のベッドに崩れるように横になりました。
皆は美味しいワインをご馳走になったり、聴いて頂いていた人にせがまれて大いに外交に勤しんだ模様。
この村の方々に心底好かれた様子を見て、それは嬉しいことではあるのですが、私は・・・・・スヤスヤでした。

お食事ごとにゲストが現れます。(笑)
日本大好き、美しい公園を案内して頂いたり、思い出話を一杯してくださったホルンさん。
建築の仕事で日本にも来たことがあり、私たちの滞在を心から歓迎して下さり、またお世話くださったオーナーのボッケマイヤーさん。
日本人のミューラーさん。日本名は「花」さん。今はご高齢(85歳)ですが若いときのお写真も見せて頂き、歴史を思う私でした。 お別れする日には、私と明子さんをお呼びになって私には「ワーグナーの写真集」を、明子さんには「テーブルクロス」をプレゼントして頂きました。
NHKの海外向けのテレビ放送を見るのが楽しみだと仰っていました。
その優しいお顔、そして佇まいは印象深く、脳裏に刻まれています。
「お元気で」と心からの挨拶でお別れしました。
皆さん良くお喋りです。(笑)
頭は飽和状態になっていくのですが、その熱心さ、優しさについお付き合いをしてしまう私です。
良い3日間でした。
もう少し滞在したいと本当に思いました。(が、その思いと同時にこれからの仕事が脳裏をかすめます。(笑))

花さんです。

いましばらくお待ち下さい

私の手にはプレゼントされたワーグナーの写真集があります。

いましばらくお待ち下さい

今回のイタリア〜ドイツはほぼ雨に見舞われました。
こんなこと初めてです。(ヨーロッパに行くときに傘が必要なんて思ったことがありません)
また寒かったですね。冬に逆戻りでした。
しかし、雨に降られても、寒くて震えても、心は本当にホットでした。(これ本当です)
沢山の方々にお目にかかり、幸せです。
「音楽は国境を越えて」使い古した言葉かもしれませんが、やっぱりこれは真実です。
国籍、言語、文化など突き抜けて、人間は共感しあえる。
真実を見て帰国です。今度は私がそれを伝えなければ。
そう思います。



No.676 '10/05/06「ワイマール(Tiefurt)での特別演奏会」終わり