No.680 '11/01/31

柴田南雄「三重五章」録音


2011年1月23日(日),愛知県知立市リリオ・コンサートホールで柴田南雄「三重五章」の収録をしました。
『柴田南雄とその時代』第一期(4CD+2DVD)に続く第二期に収録予定になっている作品です。
柴田南雄作品集、生前から全集をと私が計画を立て、第三集まで発刊したのですが、その後止まっていました。
諸事情が重なっての一時延期としていたのですが、気がつけば他のシリーズが始まって、次なる計画が立たなくなったのがその原因です。
いつも私の頭の中では先生との約束を果たせずにいることに胸を痛めていたのですが、奥様の純子(すみこ)先生から新たな全集のお話を受けた時、少し胸を撫で下ろしたことを思い出します。
参加させて頂くことに快諾したことは言うまでもありません。
私が指揮する「名古屋ビクトリア」、「京都C・モンテヴェルディ合唱団」、そして「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」に呼びかけました。
今回は約70名ほどが参加。京都から、そして大阪からも集まって来てくれました

純子先生と、リリオホールの客席での写真です。(右端は明子さん)
柴田先生の偉業を伝える役目を負われた純子先生。微力ながら私も最善を尽くすことを誓いました。

いましばらくお待ち下さい

「三重五章」の構成は以下のようになっています。(構成:柴田純子)

「三重五章」
序章
(当間:高声と低声[五度間隔の響き]歌い手はホールの四方のドアから入場してステージへと。旅人が三重へと集まってくる様が描かれます。馬子唄は男声。そして舟歌で女声を加えることにしました)
a.鈴鹿馬子唄
b.櫛田舟歌

第一章:伊勢國(本居宣長)
(当間:柴田サウンドですね!伊勢の地形、盛んで活気に満ちた伊勢国の様子を歌います)
第二章:参宮風景
a.伊勢音頭(道中唄)(当間:音頭とお囃子に別れるのですが、お囃子に日本を感じる歌い手達です)
b.伊勢の手まわし(西鶴)(当間:何といっても語りの面白さが絶品です)

第三章:万葉集の三つの歌
朗読1(当間:今回朗読2と共に、男声一人によって読ませることにしました。旅程の朗読ですが味のある語り部で録音ができたと思っています)
万葉集の三つの歌
1.河口の(大友家持)
2.妹に恋ひ(聖武天皇)(当間:抒情的な曲。声の透明さと風景にも似た立体的なサウンドを求めたのですが・・・)
3.御食つ國(大友家持)
朗読2

第四章:子供の四季(わらべ唄・桑名の詩かるた) (当間:わらべ唄、遊び歌の重ねの響きが面白い。個々の歌が聞こえてくることもまた大切です。実際にお手玉、手まりを用いて練習していました)
1a.田つぼどん(四日市の鬼きめ歌)
b.トンと落とせば(上野市(伊賀市)の手まり歌)
c.ひのふの三吉(熊野市の手まり歌)
d.一が刺いた(鳥羽市のつかまえ鬼)
e.じゅんせ、じゅんせ(一志郡美杉村のお手玉歌)

2.正月っつぁん

3.詩かるた(桑名市)(当間:桑名に残る珍しい行事とのこと。これを知ったのは嬉しいことでした)

第五章:三重の勾(まがり)
(当間:この二曲は難曲です。音、ハーモニーとも相当の技量が必要でしょう)
1.鞏路感懐(きょうろかんかい)(呂温、詩かるた)

2.三重の勾(『古事記』景行天皇)
(当間:最後、全休符を挟んでの片唄(かたうた)「愛(は)しけやし 吾家(わぎへ)の方よ 雲居(くもい)起(た)ち来(く)も」は心が震えます)

見事な構成ですね。三重の歴史、風習が読み取れ、あるいは思いを巡らせることができて三重が本当に好きになります。
子どもたちが当時歌ったであろう遊び歌などは失いたくない伝統の味ですね。

下の写真は曲の演出の確認をさせて頂いているところかと思います。

いましばらくお待ち下さい

「序章」の収録風景です。
馬子唄、舟歌を歌いながら三重へと旅人が集まってくる様を歌います。男声陣達の遠くからやって来る演出にいろいろとアイデアを出しました。
全曲を通してホールのステージを結局使いませんでした。客席での演奏、そして録音です。これが意外に良かったのですね。
ステージは控えの場所と化していました。ユニークな形をしたホールでしたが結果的にはうまくいきましたからとてもよい印象として残っています。

いましばらくお待ち下さい史

子どもの歌を収録した写真も掲載したかったのですが、これはCDをお聴きになって想像をめぐらせて頂こうと思いますので敢えて掲載は控えます。
本来は子どもたちによる演奏なのですが、今回は大人の女性によって歌っています。ちょっと大人びた子どもとしての響きに聞こえればいいのですが。

録音を取り終えて記念写真です。先ずは団の代表と、と思ったのですが、此処には「京都C・モンテヴェルディ合唱団」が居ませんでした、撮った後に駆け込んできていたのですが・・・・。後列左から、明子さん、倉橋(「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」)、前列左から、スタッフの野田さん、私、青木(「名古屋ビクトリア」)です。

いましばらくお待ち下さい

もう一枚記念撮影です。笑顔が巧くいったことを表していると思うのですが。(笑)録音スタッフは左から桜井さん,野田さん、当間、平井さん。お世話になりました。
良いCDになること間違いなしと踏みました。楽しみです。

いましばらくお待ち下さい剛



No.680 '11/01/31「柴田南雄「三重五章」録音」終わり