八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.103


【掲載:2017/06/15(木曜日)】

やいま千思万想(第103回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

世界文化遺産の街「マントヴァ」での演奏」

 イタリアの「マントヴァ」、日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ルネサンス期の優れた都市計画が成された街として、そして他の諸都市にも大きな影響を与えた街として知られ、多くの観光客が訪れる人口約5万人の街です。
この街、シェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」にも登場、またヴェルディのオペラ「リゴレット」の舞台ともなっています。

 その街で、今年第5回目を迎える「マントヴァ室内楽フェスティバル」が5月31日から6月4日までの五日間開催され、招聘された合唱団として演奏会に出演してきました。
そう広くはない小さな観光の街なのですが、この期間多くの人々が訪れて活気を見せていました。
 以前、7年前にも演奏地として訪れているのですが、今回はその時と違って街全体が「祭り」状態。
歴史的建造物の広場で開かれている「市」にはご当地の物産が所狭しと並び、買い物客が賑わしく行き交う活気に満ちた場と化しています。
その風情は弥(いや)が上にもフェスティバルを盛り上げているようで、演奏者としての意気もまた上がりました。
 私たちの出演は4日間に9回というハードなスケジュール。その演奏毎に訪れた幾多の驚愕の出来事を報告させていただこうと思います。
フェスティバル参加の結果を先に書くならば、人との交流が音楽を挟んで熱狂的なものになった、いや、音楽そのものによって熱狂的になったということでしょうか。
旅は本当に面白い!そこでは予想だにしないことが起こり、その結末もまた想定外の事が起こります。今回の旅行は正にその連続でした。

 フェスティバルの話に入る前に先ずドイツのフランクフルト空港での出来事から。初っ端から劇的でした。
我々50名ほど(合唱団とその同行者)はマントヴァに行くためにドイツからイタリアのヴェローナに渡るという行程を取りました。
その経由地のフランクフルト空港が最悪の天候不良に見舞われ、飛行機は空港には着陸できたものの機上で足止め。
そして知らされたのはイタリアに飛ぶ飛行機の欠航です。
慌てました。「さてどうしたものか?」と。
ルフトハンザ航空は宿泊のホテルを用意します。
宿泊するとなれば現地到着予定が一日遅くなります。
時差ボケ予防として一日早く現地入りを計画していたのが功を奏する形となったのですが、これは全く予想外の展開。
 もう一つ問題が起こりました。私を含めるビジネスクラス利用の3人には他の都市を経由する別便を取るか、それとも皆と一泊するかの選択。
結果はイタリア行きを取ることにしたのですが、これが大変な事に。
再度別便も遅れ、経由先のミュンヘンでも機上で待たされ、ヴェローナ行きが離陸したのは23時20分(遅れること一時間35分)、そしてヴェローナ着が0時30分。
預け荷物で手間取ってタクシーに乗ったのは1時30分。
そして目的地であるマントヴァのホテルに着いたのはなんと深夜の2時10分だったのです。
(つづきます)





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