八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.121


【掲載:2018/03/22(木曜日)】

やいま千思万想(第121回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

サル・人と音楽の源泉としての歴史

 またまたヒトの進化の歴史話。
この手の話が好きなものですから、時折これがテーマとなります。
40億年前から続く生物の歴史。
今回は「サルからヒトへの進化」の仮説。面白いものですからご紹介をしたいと思いました。
「ヒト」はアフリカが発祥の地であることは周知のことと今はなっています。
しかし、いきなり「ヒト」が現れたわけではありませんよね。
その前に多くの生物たちが共存していたことは間違いないこと。
特に「ヒト」になるまえの「サル」の仲間のことはあまり知られてはいませんし、私自身もこの事は気になりながらも話題にはしませんでした。
 どうも「サル」はミャンマー(旧ビルマ)辺りから全世界に広がった(今から約5500万年前)ということが発表されています。
アジアからサルはどのように移動してアフリカへ渡ったのか、
そして「ヒト」となったのか、これに興味が尽きません。
「サル」から「ヒト」への進化(約700万年前に人類はチンパンジーとの共通の祖先から別れて、それぞれに進化。
チンパンジーは森の生活に適応し、ヒトは森の生活を離れ、高度な道具を生み出しながら進化していった)。
今のところ発見された化石から判断すれば、アジア→アメリカ→ベルギーへと渡ったという「サルの大移動」です。

 最初のサルは手のひらに乗るぐらいの小さなものだったそうです。
森に住み、木の上で生活をしていたと想像されています。
やがて地球規模の大地殻変動と、それに伴う超温暖化が加わり、森が広がり、それを追うようにしてサルは地球を一周するほどに移動した。
そしてその流れの一部はアフリカへと渡り、現代のヒトへと繋がる進化を遂げたということのようです。
そして、今度はまた再びヒトは全世界へと広がっていくわけです。
それぞれの地に住み着き、文化を築き上げていくのですね。

 さて、そのように大移動したヒトの祖先、その中でもイギリスに渡って進化した人々は今日私たちを楽しませてくれて、
なくてはならなくなった「歌」を残してくれたというのが定説。
音楽(クラシックと呼ばれる西洋音楽)の故郷、源泉はイギリスにあり、ということになっています。
イギリス国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地で構成されるのですが、
特にその中でもスコットランド地方と北アイルランド地方が重要で、その地が「音楽」の故郷だと考えられています。
そこで生まれたメロディーは日本でも愛唱されている、もしくはされていた、「ロンドンデリーの歌」「庭の千草」「蛍の光」「仰げば尊し」などで、
これらのメロディーは日本人の心に響きます。
それら5音階によるメロディーは世界共通音楽語としての意味も含みますし、ハーモニーをも生み出した。
そしてそこにアフリカのリズムが加わる。それが音楽の歴史です。
面白いものです!アフリカから出たヒトが、その生まれた地で育まれたリズムを得て、新たな全地球的な音楽を奏でている。
その不思議に感動を覚えます。





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