八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.21


【掲載:2014/01/05】

音楽旅歩き 第21回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[映画に感謝、人間にしか出来ない総合芸術]

 年が明けました。新たな気持ちで今年も歩みを進めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
この時期八重山に居たかったですね。
朝日を拝み、祈り、願いを水平線の彼方(ニライカナイ)へと放ちたかったです。今年の元旦は静岡県伊豆の深い谷間で仲間達と一緒に過ごしました。
 残念なことに日の出は拝めません。
聞こえるのは川の流れの音、それに加わって強風が時折不気味な音を立て、周りの森林の中からは鹿の鋭い声と共に八重山と同じ神々の声を聴きます。また、満天の星々。
 今、話題のオリオン座(ベテルギウス爆発)、一際大きく輝く木星とその近くに輝く二つ仲良し双子座、頭上には牡牛座、おおいぬ座が昇って来るという大宇宙ショーです。

 さて、年始最初のテーマは「映画」を取り上げたいと思いました。
私、映画が大好きなのですが最近見ることがほとんどなくなりました。
上映会館への往復を入れれば優に半日はかかってしまう時間が取れなくなってきたからです。
お国やジャンルにとらわれず好きですね。
ただ私の鑑賞はどちらかというと俳優や筋立てではありません。
監督、演出、特にカメラワーク、台本を味わいたいのですね。
私はそれらを通じて沢山の人間模様、銀幕人生を見て大きな影響を受けてきたと思います。
それを思えば忙しくなったとはいえ、半日を費やしても観る価値はありますね。
 今「沖縄映画」を観たいことに気がつきました。思い出しますね。
「神々の深き欲望」「ナビィの恋」「ニライカナイからの手紙」「ひめゆりの塔 」「ホテル・ハイビスカス」等々(などなど)があります。
「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」「釣りバカ日誌」などもありましたね。
またロケ地として沖縄を取り上げた「ベスト・キッド2」など、アメリカ映画であるのにもかかわらずほとんど現実ではない沖縄風景満載の変な映画もありました(なぜ現代でも一時代前の日本的イメージでしか描けないのか不思議です)。
 沖縄を背景によく取り上げられるテーマは〈歴史的風景〉〈戦争〉〈神々の島として〉〈ヒューマニティー〉でしょうか。
映画は素晴らしい芸術でありエンターテインメントです。沖縄が様々な角度から眺められてテーマとされ、そしてロケ地として選ばれて撮られることを願っていますね。

 映画には沢山の人間が関わります。
エンディングクレジットに並んでいるおびただしい名前、どれ程の多くの人が関わり、その協力を得て作られたか。
そのフィルムは記録であり、映画史の中に永遠に残ります(保存の方法を考えなければなりませんが)満天の星々を観ながら映像芸術のことを考えてしまいました。
 人間は実際に見聞きできることは限られています。
人が撮った多くの映像は居ながらにして世界を、そこに住む人々のドラマを、営みを見せてくれます。
 人間を成長させますね。映画がどれほど多くの楽しみと知恵を与えてくれたことか、映画に感謝。感動。人間にしか出来ない偉大な総合芸術です。





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