No.2 '00/7/29

テンポ設定


指揮者の仕事で一番大事なことと言えば、「テンポ設定」です。
曲の速さを決める。これが指揮者の役目です。
現代音楽、あるいは現代譜(いわゆる出版されている楽譜と今はしておきましょう)には、曲の始めに「基本になる音符=数字」、例えば♪=108のように書かれていることがあります。
これはメトロノーム記号と言って一分間にいくつ拍数を叩くかというものですね。

指揮者はこれを正確に打てるようにまず練習します。(指揮法の基本的な動きを<打法(叩き)>と呼んでいます)

どのように練習(訓練)するか書きますね。

これを繰り返しながら曲に示されたテンポを自分のものにしていきます。(まさに叩き込こんでいきます(笑))
テンポをキープすることは難しいですよ。
守っているように見えて、どんどん外れていくのが普通ですね。
基本的に、(書かれている)テンポを守るのは作曲家に対する礼儀。始めから守る気がないのは無礼というもの。
しかし、メトロノームに終始、合った演奏というのも実は作曲家は望んでいないと思います。(仮に、楽譜に「忠実なテンポによらなければならない」とか書いてある場合は例外ですが)
もし、忠実に守った演奏があれば、「機械的な演奏」としての面白さはあるかもしれませんが、どこか息苦しい、窮屈な演奏になるはずです。そして、きっとどの曲を聴いても同じ感じがするはずです。
フレーズとフレーズの間、呼吸の間、語法、奏法での強調の間といったことでテンポはずれていきます。

しかし今回のテーマの「テンポ設定」は、そこまで微妙な内容の事柄ではなく、曲の開始、出始めのテンポということに限った話としておきましょう。

練習(訓練)の続きです。

メトロノーム化してしまった指揮者は惨めですが、テンポを示せない、整えられない指揮者はもっと惨めですね。
「テンポ設定」、これは指揮者がする最初の仕事です。

No.2 '00/7/29「テンポ設定」終わり