ヨーロッパに渡ると決まった時から、見たいと思っていた鳥はたくさんいたけれども、コウノトリはその中でも特に‘見たい’という思いが強かった。
日本ではトキと同じく、野生のもので繁殖しているのはいなくなってしまった。たまに中国などから迷鳥として飛来するだけなのだ。
日本からいなくなってしまった鳥が、ヨーロッパに行けば見られる(いや、中国やアフリカにもいるんだけど)。私の胸は喜び躍った。
ヨーロッパでは幸運の象徴とされ、コウノトリが営巣した家は落雷などの危険から守られると言う。そのように家の煙突に営巣しているコウノトリの姿を一目見たかったのだ。
しかし実際行ってみるとそうそう出会えるものではない。しかも鳥を見に来た旅行では無いのだから、探して回るわけにもいかない。
しかし97年、演奏会の合間のライン川流域観光にて、面白い形で遭遇することとなったのである。
降り立った町の一角にこんなものがぶら下がっていたのである。
おわかりいただけるだろうか?
コウノトリの模型のような物が、家の窓からぶら下げられているのである。
この辺りでは、家に子供が産まれるとこういった物を吊すらしいのだ。赤ちゃんはコウノトリが運んできてくれる、という話があるが、その辺からきている風習だろうか?
ともあれ、子供を授かるという幸運を象徴する形でコウノトリが飾られているのは確かなようだ。
何だかとても嬉しくなってしまった。
結局97年、98年ともにコウノトリの実物には出会えなかったのだが、このドイツの小さな町では一つの幸せがコウノトリと共に生きているのだ。
鳥と出会うというのは、幸せと出会うということだからこれで良いのだ、バカボンボン。
でもやっぱり次は、この模型がかかっている家の屋根にコウノトリが営巣している、なんてのを見てみたいものである(贅沢すぎるかな?)。
00.9.5