10/2〜3は10月10日のブラームス本番に向けての合宿であった。
つまり二日間ブラームス漬け。
やっぱり良い。歌えば歌うほどハマっていく。
私はキリスト教徒では無いし、普段聖書のテキストを読んでも「それがどないしてん」くらいしか思わない。
しかしブラームスの音楽にのせられるとどうだ。信じてしまう。音楽に説得力がある。
ましてやシュッツ合唱団のサウンドだ。練習が進むにつれ、命が吹き込まれていく。涙モンだ。
「悲しんでいる者は幸いである。慰められるから」
「人は皆草のごとく、その栄華は草の花のようだ。草は枯れ、花は散る。」
「正しき者の魂は御手にあり、いかなる責め苦も彼らに届くことはない。」
力を持った言葉が私の胸に響く。
最近父親を亡くした友人の顔が何度も浮かぶ。彼と彼の家族こそ今悲しんでいる人達である。彼とその家族のためにも歌おうと思う。
「種の袋を背負って泣きながら出ていった人は、喜びながら帰ってくる、束ねた穂を背負って。」
彼もまた喜びながら、重い荷物を持って帰ってくるのだろう。歌っていると本当にそう思う。
長崎の大浦天主堂を思う。潜伏キリシタン達がカトリックに復帰した、この地。苦難を乗り越え、聖母子像を目の当たりにしたその喜びを思う。何代にも渡る思いだ。
悲しみながら踏み絵を踏んだ者も、苦しみながら踏めずに殺された者も行き着く所は同じ。喜びの世界。信じてしまう。
あと五日で本番。悔いのないステージにしたい。人を思った歌を歌いたい。心底そう思う。
苦しんでいる人、悲しんでいる人、喜んでいる人、怒っている人。色々な人達に聞いてもらいたい。きっと何か感じてもらえるから。
10/10、いずみホールでお会いしましょう。
99.10.5