ちょ〜歌垣


今日テレビを見ていると、中国の少数民族「トン族」の変わった恋愛の風習というのをやっていた。

この民族の恋愛は歌による、というものだ。
私は「歌垣のことだろう、それだったら日本にも台湾にもあったぜ」などと思いながら見ていた。
しかしどうやら様子が違う。歌垣はおそらく出会いの時に歌い交わすだけだったろうが、トン族のそれは徹底している。
出会いも、告白も、相手の家に入るのも、プロポーズも全て歌で行われるのだ。たまげた。歌垣を超えた、超歌垣民族(?)だ。

まず出会い。集団お見合いのような形で行われ、気に入った相手を捜す。この時以外若い男女は言葉を交わしてはいけないらしい。いや、この時ですら歌でないとダメなのだ。
歌っていた歌が面白かった。
「蝉は何故鳴く、蝉は恋してるから鳴く、私も蝉のように恋がしたい」てな内容で、蝉の声を模して歌うのだ。
思わず「蝉?すぐ死ぬやん!」とツッコンでしまった。

で、気に入った相手に告白。これは男が女を人気の無い所へ呼び出して行う(いいのか?)。これも歌だ。
女はすぐに答えない。答えるのは旧暦三月の祭りの日だけなのだ。
祭りの日、おにぎりみたいな物で答える。交際OKならば中に花びら、ダメなら赤唐辛子(エグいなぁ‥‥)を入れて男に渡すのだ。

んで交際が始まるのだが、それも全部歌で行われる。交際から結婚まで早くて五年、長いと八年以上もかかるらしい。その間数千曲も歌って、愛を育むのだそうだ。大変、大変(多分即興の歌だろう。いちいち状況に合わした曲があるとは思えない)。

相手の家にはいるのも歌。「中に入れて〜」みたいな歌は、どことなく情けなくて笑える。お酒を口に含んで吹き出してかけるのが、「入っても良い」という印というのは面白い。

プロポーズも当然、歌。「そろそろだろ〜」「まだ早い〜あせらないで〜」みたいな歌は、もうなんだかなぁって感じである。

結婚式や結婚後の事はふれてなかったのでわからない。全部歌だったらしんどすぎるなぁ‥‥。

世界中に恋愛の歌はそれこそ星の数ほどあるけれど、ここまで徹底して、歌と恋愛を結びつけてる民族はそうないんじゃないだろうか。もっともトン族の場合、歌が何の意味を持つのかさっぱりわからないけれど‥‥。

00.1.18

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