モーリス・デュリュフレ


あれは1992年だったか、93年だったか。
合唱を始めて1,2年、当時私は合唱のCDを買いあさっていた。
どこどこの演奏が良い、とかいう情報も知らず、色々なものをとりあえず買って聴いていた頃である。

そんな頃、大学生協のクラシックコーナーにあったCD、モーリス・デュリュフレ「レクイエム」。合唱のCDが少ない大学生協にあった珍しい宗教曲のCDである。
大学生協のCDセールの時にこれを購入した。これが私とデュリュフレの出会いである(大げさな‥‥)。

買った当時は、あまり聴かなかった。まず、デュリュフレ?誰それ?であった(フランス人ということさえわからなかった)し、レクイエムのテキストもよくわからんし、フォーレのそれに似ているとされても、それが何のことかわからなかったのである。

しかし時が経つにつれ、よく聴くようになった。今でも愛聴盤である。演奏が好きなのだ。
このCDは、デュリュフレ自身の指揮で演奏されていて、録音も古い(1959年以前)。合唱はあまり上手とは言えない。
しかしその気迫のこもった演奏は私の胸を打つ。中でもKyrieの中の後半、女声のChristeの後から、男声のKyrieの入り!今聴いてもつい涙腺がゆるんでしまう。
モーリス・デュリュフレ「レクイエム」は私の歌いたい曲ランキングの仲間入りをした。

何年かして、京都モンテヴェルディ合唱団でデュリュフレの「グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット」を演奏した。アカペラによるこの美しい曲集は、私をすぐにとりこにした。

この頃見つけたデュリュフレのCD、聖ヤコブ室内合唱団のものは大変合唱が美しい。録音した教会の響きも良い。ただ前出のCDほどの気迫は無いと思う。

この聖ヤコブ室内合唱団のCDにも収録されている「ミサ・クム・ユビロ」。男声の斉唱とソロ、オルガンによる曲で、グレゴリオ聖歌の旋律がオルガンに使われている。なんともグレゴリオ聖歌の使い方がうまい作曲家であるなぁ、と感心した。男声のユニゾンとオルガンの使い方が効果的で、これまた歌ってみたい。

今また、シュッツ合唱団の東京公演で「グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット」を演奏することとなった。いにしえのグレゴリオ聖歌が現代作曲家の手により甦り、カザルスホールに響き渡る。
演奏会が楽しみでならない。

99.11.11

back next