じゅずシュッツ・番外編


イギリス・アイルランドを考える

原田 匠彦



第三歩 ケルト人



ケルト人とは、現在のスコットランド人・ウェールズ人・アイルランド人の先祖にあたる民族である。
それに対して、イングランド人の先祖はアングロ・サクソン人である。
実際はそんな簡単なものではなく、イベリア人・ローマ人・バイキング・ジュート・デーン人・ノルマン人と色々な民族がイギリスにやって来たのであるが、細かい事を言いだすと結局わけがわからなくなるので、ここでは大まかな説明をさせていただきたい。
物理でもそうだが、まず何かを大まかにとらえ、次第に詳細に入るのは物事を考える上では重要だ。

まずブリテン島とアイルランド島にはケルト人が住んでいた。そこにアングロ・サクソン人が大陸からブリテン島に侵入し、先住のケルト人達を北方と西方に追いやって行った。
これは日本において大和民族が先住のアイヌとクマソを北方と南方に追いやって行ったことに酷似している。
違うのは、大和民族は日本列島を統一した(ことになっている)のに対し、アングロ・サクソン人は最後までブリテン島を統一できなかったことだ。
かくして、ブリテン島北方はスコットランド・西方はウェールズとなり、アングロ・サクソン人の侵略した南方はイングランドとなった。
結局イングランドは侵略をあきらめ、連合王国という形でブリテン島を支配することになる。

さてイングランドは、隣のアイルランド島にもその脅威を及ぼし、16世紀にはアイルランドは征服されてしまった。

イングランドの力の強さは、言語にも表れている。ケルト人の話していたケルト語は、スコットランド語・ウェールズ語・アイルランド話に分化し、それぞれの国で話されていた。
しかしイングランドの言語である英語が次第に広まり、現在イギリスとアイルランドではほとんどの人が英語を話している。

このようなことから、スコットランド人・ウェールズ人・アイルランド人には兄弟意識があり、概して彼らは今でもイングランド人を嫌っている。それはイングランドが例えばドイツとサッカーの試合をするとき、彼らはドイツを応援するという具合である。

また彼らはイングランド人よりも親切で友好的だと言われているが、それは概ね正しい。
しかし日本人にとってはまだまだ分かり難い所があるし、彼らも日本人には慣れていない。そのためにぎくしゃくすることもあるのだが、基本的には何が起こっても腹を立てないのが彼らとうまくやっていく方法だろう
(日本に来ている多くの外国人がわれわれに対してそうしてくれているように)

例えば友達の家に3日ほど世話になって、別れ際に「じゃあ1日10ポンド( = \2000)として、30ポンド置いていってね。」と言われてもだ。
彼らは日本人からうまくせしめてやろうといったずる賢さはまだまだ持ち合わせていない、純粋な人達だと思いたい。

つづく





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