じゅずシュッツ・番外編


お待たせしました!!
イギリス留学から帰ってきた「なにわの貴公子」こと、
原田匠彦くんの新連載の始まり、始まりぃ〜〜〜〜!


イギリス・アイルランドを考える

原田 匠彦



第一歩 ことはじめ


日本に帰ったら必ずこの連載を書こうと思っていたのが、ずるずると延びてしまった。
最初はイギリス英語講座なるものを書こうかと思っていたが、いや、そんなものよりもむしろ、英語の話だけではなく広く現代のイギリス・アイルランドというものについて考えてみようではないかと思うようになった。

最初にお断わりしておきたいことは、この話はあくまでもぼくの経験をもとにしている。
であるから人によってはぼくと正反対の経験をした人もいるだろうし、そんなの絶対に嘘だと思うならそれもよろしい。
でもこれからイギリスに旅立とうと思っている人や、イギリスを夢の国のように思っている人は、読まない方が良い。少なくともぼくは実際に経験したからだ。
例えばこの質問に自信をもって「はい」と答えられるならば、あなたは立派なイギリス人だ。

質問:「あなたは洗剤がついた食器で、ごはんが食べられますか。」

これも言ってみれば、何をもって清潔とするかの違いかも知れない。
ぼくは食器洗いにあまり洗剤を使わない方で、油汚れ以外は水かお湯ですすぐだけですませてしまうが、イギリスは丁度その反対だ。
何にでも洗剤を使い、その洗剤を水で落とすことをしない。
さてどちらが清潔と言えるのか。

イギリスの家族の所に越して来て、食事をとる。
終わるとランドレディ(landlady:その家の奥さん。)の食器洗いが始まる。
ちらっとそれを見る。
食器立てにかけられた皿やコップから洗剤がしたたり落ちている。
あっ、ここもそうかと思い、しばらくは仕方がないかとあきらめる。
紅茶を飲むと、うっすらと洗剤の香りがすることがある。皿には粉のようなものがついていたりする。
彼らと生活して来て、ぼくの体にはかなりの洗剤が入った。
今、体は別に何ともないのだから、イギリスの洗剤はきっと人畜無害、あるいは食用の成分から出来ていたに違いない。
幸いなことに、金持ちの家、忙しい家、ずぼらな家を中心に食機洗浄機は普及して来ているようだ。
未だにイギリスの伝統的な食器洗いをしている人達に、たのむから使って下さいとぼくは言いたい。

ブラジルのダニエーレ(Danielle)が、こんなことを言っていた。
「私のホストファミリー(hostfamily)の台所には、洗剤の入った桶が置いてあって、洗い物といえばその桶の中で食器をたわしでこすっておしまい(水洗いしない)。
その桶にはいつも食べかすがいっぱいしずんでいる。
玄関で靴みがきをしていた奥さんが、靴みがきに使ったブラシをその洗剤と食器と食べかすの入った桶に沈めた。
その、ブラシと洗剤と食べかすの入った桶で奥さんは食器洗いを始めた。」

もう一度警告しよう。
イギリスにあこがれている人は、この連載を読んではいけない。

                                つづく                          



演奏会案内のページへ
会員広場のページへ