日々つれづれ
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2001年7月12日(木)
私が歌う理由(わけ)13

みんなの歌
 
初めての全国大会では
もう一つ印象に残る出来事があった。
 
すべての団体の出演が終わり、
審査結果待ちになった時のことだ。
会場は出場した高校生と、その関係者、
そしてお客さんで、ある種異様な熱気に包まれていた。
 
その会場のどこからともなく、歌声が聞こえてきた。
それはやがて会場全部を巻き込んでの
愛唱歌交歓の場になった。
 
一応全国大会に出場する団体なので
それのどれもがまたうまいのだ。
そしてそれはどんどん白熱していき、
そして最後には、会場全体が一つの歌を歌っていた。
 
それは大地讃頌であったり、
筑後川より河口あったりした。
 
ついさっきまで、競い合っていたもの同士が、
会場全体を巻き込んで一つの歌を歌う。
女声合唱団あり、男声合唱団あり、
そして混声合唱団ありの中でだ。
 
地域もバラバラ、
南は九州から北は北海道まで、
この会場で初めて集うもの同士が、
同じ歌を歌う。
 
とても暖かい空気がそこにあった。
 
歌うだけで通じ合う。
それを肌で実感した最初の体験だった。 
今にして思うと、合唱に対する否定的な思いが、
この時完全に消えてしまったのだった。
 
そして、合唱(みんなで歌う、みんなで歌える)って
すごいな、と素直に、その時思った。
 
審査待ちの間に、このような歌の交歓があったのは
後にも先にもこの時だけだった。


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