八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.75


【掲載:2016/04/07(木曜日)】

やいま千思万想(第75回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

石垣滞在中に思う(パート3)

 前回に続いて、私が島を訪れて印象深かったことについて書いてみます。
ひとつは以前(2007年)新聞などに大きく報道された白保竿根田原(しらほさおねたばる)遺跡の話。
日本の旧石器時代の人骨から約500年前の人骨まで回収されたという世界的な大発見。
私にとっては音楽に関する文化の流れにも通じるもので、これらの解明、詳細な研究成果を心待ちする大事件でしたね。
もうひとつ、立ち寄った場所はフルスト原(ばる)遺跡です。一説にはオヤケアカハチの居城跡とも言われているようですが、その低く連なった石壁に立ち、眼下に広がる眺望に接してその時代に思いを馳せての楽しい時間を過ごしました。

 さて、次は恒例のといいますか、お店訪問ですね。
しかしお店のことを書くときはちょっと緊張しますね。(個人的な宣伝になるのではないかと)
でもこれは私が出会ったお店に限っての感想だということで書くことをお許しいただければ嬉しく思います。島の広さゆえ現実的には「すべてのお店」を訪れることは叶わないと思うのですが、私自身楽しみとなっているわけですから、できる限り今後も好奇心を持って全島を回ってみたいと思っています。
 それぞれのお店で、この島の食材が活かされながらどのような美味しい料理へと変貌するかとか、いかなる個性あふれる物産が生まれているかとか、その興味は尽きません。
食べ物で言えば、白保にある「旬家ばんちゃん」での黒紫舞パンケーキ。期間限定でしたが、外がパリっとしていて中はしっとりふんわりモチモチ感、その歯触りだけでなく、パンケーキそのものの美味しさとともに印象に残りました。
 物産では「島藍」の新しい商品に目がいきます。今回は少し小さめのショルダーバッグを購入。今では行く先々で私のお供となって、藍染の三色ストライプが私の闊歩に揺られながら一緒にお出掛けです。
 大川の手芸雑貨「てしごとや」を覗くのも楽しみの一つ。愛情込めて丁寧に作られた手作りの雑貨が小さいお店に並んでいるのですが、私の仲間たちがその愛らしいデザインに、また素材や色配合に目を見張りながら、自分用に、あるいは贈答用にと賑わしくお喋りしながら選んでいる姿、そして、登野城の器と雑貨「蓮屋」に並ぶ目利きによった品々を店主の話を添えて楽しんでいる様子は、私を幾ばくかの幸福感へと導いてくれるのですね。
 さて、飲食店。お気に入りの一つである新川の食事処「森の賢者」。そこで会食した歌手の玉城(上江洲)ゆうな、そしてみなみさん姉妹との話に今回勢いよく飛びつきました。
それは八重山の民衆詩人石島英文氏の話。興味を持った私はお願いして氏の資料を集めて頂くことにしたのてすが、なんと帰阪する日に空港まで届けていただくというお世話にもなりました。
石垣に来るたびに「何かが始まっているのではないか」と感じる私。
まぁ、そんな私に大きな突き動かしの気配が。これって、春なのでしょうね。
(この項終わります)





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