八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.74


【掲載:2016/03/24(木曜日)】

やいま千思万想(第74回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

石垣滞在中に思う(パート2)

 島を一周してもそんなに時間がかからない狭い島と思っていましたが、段々とこの石垣島が広いと感じるようになりました。
お喋りしたい人と会ったり、お昼と夜に訪れるお店などを廻っていると実に石垣の町も「広くなってきたものだ」と思うのですね。
今回は2週間という短い滞在でしたが、充分の出会いとは言えないながらも印象深い日々を過ごすことができました。前回は島めぐりでの感想を書いたのですが、今回はお会いできた人のことを書いてみます。

 さて、印象的な「人」との出会い、それは先ず詩人の八重洋一郎さん。
その名を初めて知ったのはこちらの友人から。そして私のこのコラムに対して、「不連続線」で感想を書かれたことがきっかけとなり、是非お会いできればと紹介していただいてのお付き合いとなりました。
今回もご自宅の近くのお店で久しぶりにお目にかかり、談笑の一刻を過ごす事ができました。
八重さんの詩の中にある重厚な語感の流れとは違って、穏やかな優しい笑顔が素敵です。
氏の詩(うた)にはあらゆる生命に寄り添った深淵の揺るぎない信念があり、
平易な言葉の中に、心に突き刺さる人間に対する鋭い眼差しがあり、
氏の多彩な心の風景、時空を自由に飛翔するたおやかな息づかいがある。その詩の魅力が私を惹きつけて止まないのですね。
八重さんとのこの一夜、私の心の奥底にある〈何者か〉に一撃を与えたようです。

 もう1人、「プロデュース海」の佐久川広海さん。
氏は都会での疲弊を癒しに島を訪れていた私を路上演奏へと掻き立てた張本人。
日常的なその活発な動きには私も驚くばかり。癒しばかりではなく、この島のお役に立ちたいとの思いを抱かせたのも氏。
今回も6月のライブを計画中だとのことで、それにお手伝いできればと思わされてしまいました。嬉しいお誘いです。

 また、お会いするのが帰阪する前日とのタイミングとなってしまったのですが、「バンナ岳森林公園」の「世界の昆虫館」館長である山田さんにお会いできたのは嬉しかったですね。
前回お会いした時は少しお元気でないご様子、それはお悪くされていた膝のせいだったかもしれないのですが、今回お元気なお顔を拝見できたのは何より。
膝を手術されたとのこと、それも両膝を。あの笑顔はその術後の良好な状態があったればこそだったのですね。
 館長の話はいつ聴いても興味が尽きません。
園内でそこかしこに飛び回っているジャコウアゲハ、ベニモンアゲハ、ミカドアゲハを見て、そして手にとってのお話。
 昨年の11月初旬、夜の8時ごろに起こった野平マーペーでの昆虫採集中の館長の耳に潜り込んだ蛾の事件!これは可笑しくもまた怖い話でした。
 しかしながら何といってもその日のクライマックスはヘラクレスオオカブトの幼虫を見せていただいた時、それは感動、エキサイティングなひと時でした。

次回はお店の話や、そして今回書けなかったある出会いのことについて書いてみます。
(この項続きます)





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