八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.141


【掲載:2019/2/20(水曜日)】

やいま千思万想(第141回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

富山近郊の地はとても魅力に溢れ、息づく街でした

 前号の旅の続きを書きます。
今年前半の休暇を何処で過ごすか?私にとっては楽しみであり、大切なことなのですが少し体調が整ってきたとはいえ、その場所は考えなければならない重要事項です。
結局、訪れることになったのは富山県の「氷見(ひみ)」でした。
以前仕事で行った富山県の印象がとても良かったこともあって、その近くを訪れる計画を立ててもらいました。
空気も水も美味しく、風景がお気に入り。そして町の佇(たたず)まいも落ち着けましたから、その周辺の地にも期待が高まります。

 大阪からは4時間程。富山に入り、同じ県内の「氷見市」と「高岡市」を訪ねる旅です。
まずは国内でも有数の漁港である「氷見漁港」。
周りには温泉も有り、食はなんと言っても「魚」ということで冬はブリ、マダラなどが特上、美味です。
驚いたのはその漁法で「大型定置網」。泊まったホテルからその全容が見えたのですが、それは必見ものでした。
調べてみればその網は400年以上の長い年月をかけて進化した形だそうです。
富山湾は日本海の魚の通り道(回遊ルート)にあたり、それらの魚を湾内に誘い入れて獲ります。
湾の海底の地形と合わさって奇跡的とも言われる漁法です。

 海(湾)越しに見える立山連峰も絶景。
行った時は少し霞(かす)んではいたのですが、しっかりとその稜線が見え、その雄大さが想像できます。
2泊旅行の二日目、富山から氷見に向かう途中にある「銅の街」高岡市へ逆戻り。(富山県富山市は人口41.8万人、高岡市は次いで17.5万人。因みに氷見市は4.7万人)。
高岡では高度な彫金技法や鋳造(ちゅうぞう)による銅器に目を楽しませて頂きましたが「万葉の地」としても有名で市も力を入れて発信。
奈良時代に越中国守(えっちゅうくにもり)として赴任(ふにん)し、万葉集の編者として名高く数々の秀歌を残した大伴家持ゆかりの地。
充実の資料館「万葉歴史館」も訪れました。人生、まだまだ知らないことが多いですね。旅とはそれらを体験で「識る」という事でしょうか。旅は良いものだとつくづく思い直した日々でした。
だらだらと書いてしまっていますが、旅行記にするつもりはありません。
少し感動の度合いが高かったのと「その土地を訪れるとは?」についても考えさせられたものですからつい長くなってしまいました。
旅の目的って人それぞれに違いますね。私はやはりその地の文化に根ざしたものに心が動くようです。
人も風景も食も〈良ければいい〉というものではありません。しっかりとその地に根付いた文化に繋がっていて欲しい。
旅人は流行や一時の楽しみだけで本当は満足できない。何度も訪れたくなるようなその地独自の〈文化〉に触れたいのです。
それは行く度に心を豊かにしてくれるものだと思うからです。
で、思うのは石垣島のこと。
それはやはり「八重山文化」です!
一時的な流行などでなく、どっしりと生活に根付いている誇るべき島の魅力を永遠に!ですね。  

 



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