八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.232


【掲載:2023/03/02(木曜日)】

やいま千思万想(第232回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

地主が離れ日本の中の外国リゾート ニセコでスキーです

 今月(二月)、北海道ニセコでのスキーに行ってきました。5年ぶりです。
『コロナ禍』でもあり、私の病院入り事情も重なって月日が経ってしまいました。
今回行ってみて想像はしていたものの、現実を目の当たりにしての感想は予想を相当上回っていました。

 地元の人に聞けば、「もう80%以上外国人客ですよ」との事。まさに、ニセコのメイン通りも裏道も外国人ばかり。
東洋系も西洋系も入り混じって闊歩しています。これはもうヨーロッパのリゾート地です。
私が覚えているお店は無くなって、新しい近代的おしゃれな建物に変わっています。
看板はほぼ全部と言ってよいほど横文字ですし、日本語でも外国で見る変な文字体で飾られています。 

 地元の人にまた聞きます。「元の地主さんはどうなっているのですか?」答えは「土地を売り、都会へと移住されてますね」です。
スキー場のメインのホテルも建て替えが決まっていて、コンドミニアム(キッチンや洗濯機など生活するための設備が備えられたリゾート地に見る宿泊施設。
中長期ステイやグループ、ファミリー用仕様)に変わるそうです。
今回私が訪れる目的でもあった親しい知人(毎夜訪れる居酒屋さんのオーナー)の話に、現実の「ニセコ事情」が大きく浮かび上がります。

 最初にニセコに目をつけた外国はオーストラリア。
その後、オーストラリアが経済的な理由のためか手を引き(しかし、今の状況のきっかけを作ったのはオーストラリアでしょう)、
その後転売先となったり新規参入をしてきたのは御多分に漏れず、中国、韓国、そして東南アジアの裕福層、今ではヨーロッパにまで拡がっているようです。
地元の若い後継若者も時流に乗ってか、「親の意向を守る方向でなく、どんどん同化していっているのが辛い」と話をしてくれる人の辛そうな表情が印象深かったです。

 さて、そんな外国人に混ざってスキーをします。5年間のブランクが心配でした。
筋力差による体全体のバランス、持久力など、果たして滑ることができるだろうか?と不安が先走ります。
でも滑り始めれば〈自転車に一度乗れればいつまでも忘れない〉と一緒、何本か滑るうちに勘を取り戻し、方向転換やスピード制御もでき始める。
本数は少なかったですが十分に楽しめました。
この未曾有のスキー場の地形と雪質。是非日本人に戻ってきて欲しいと思いましたね。
今の所自衛隊配備の話も聞きません。
隣国があの中国ですからそんな不安材料が表に出てきてもおかしくないのですが、今の所私はその事について聞き逃してしまいました(水面下ではあるのかもですが)。
どこの地もそうですが、その価値観は違えど、リゾートにはきな臭い話は似合いません。〈安心感での楽しみ〉が最も人が訪れて栄える条件です。

 ニセコはこれからどうなっていくのでしょう。
日本ではまだ見られない「真の人種が混じり合っての理想郷」となるのか。
ただ、真の栄は地元を潤す経済的効果と信頼関係。
でも今はお金は外国に渡っています。さてこの問題どうしましょうか?





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