No.4('92)

「音楽レベル」について


前回では女性に焦点をあわせ過ぎたように思います。混声合唱では男性も大きな「責任」があります。男性には何も問題がないということではありません。念のため。
回を追ってその問題を浮き彫りにしていくつもりです。

今回は《音楽レベル》についてです。

この《音楽レベル》については実は次の二行で終わってしまうテーマです。
書いてみましょう。

これが全ての団員の共通認識となって、それぞれが何の障害もなく、自己を磨き育てることが出来ればよいのですが、しかしそう簡単にはいかないのが現状ですね。
今回はその問題点、そして具体策を書いてみることにします。

問題点。それは・・・
何を「世界最高のもの」と見るか。
何を鍛え、何を直せばよいか。
ハッキリしているようで実は、各自バラバラの見解を持っているということ。
「欲」についてNo.2で書きました。
実はその「欲」がそれらの判断を狂わせていると思うのです。
我々は自分にとって気持ちよいこと(「欲」を充たしてくれるもの)が良くて正しいものであり、自分にとっていごごちのよくないもの(「欲」を充たしてくれないもの)は悪くて間違っているものだと判断しがちです。
しかし果してそうでしょうか?
この世ではそうでないほうが多いのではないかと私は考えています。
特に技術の習得を必要とする場合はそうです。
技術の習得は訓練によります。
技術や音楽性は、自分自身に課す並はずれた努力と自分以外の「他」からの学びと影響とによって磨かれます。
「他」を理解することによって「自分」を深めていくのです。
「自分だけ」というものから脱して、「他」をどれだけ多く受け入れるか、これがポイントなのです。
自分に合っているものが判断の基準ではなく、多くの「他」をどれだけ自分のものとするかなのです。
では、どうすれば「他」を自分のものと出来るのか?
では具体策です・・・・

食べ物の好き嫌いと同じです。
嫌いなものに出会った時、どうして嫌いなのか、その原因はなんだったのかを考えればよいのです。食べず嫌いではないか?何かにとらわれてはいないか?等。
食べ物の栄養価値を知り、他のものとの味わいの違いを知れば、それ自身の美味しさを発見できるかもしれません。
一つでも嫌いなもの、苦手なもの、弱いものを減らすことは、人生の豊かさを増すことに通じるものがあります。

「音楽」は心の問題を扱います。心理の問題に深く関わります。
「音楽」することは心の深部からの「他」への呼びかけ行為です。
「他」と「自己」、「作品」と「演奏」、「演奏者」と「聴き手」のキャッチボールの関係です。

皆さんがシュッツ合唱団に入って来られたことは人生の豊かさに通じることであって欲しいと願っています。
「辛く」なったり、「心が沈んだり」して「希望」を失ってしまっては何のための音楽かわからなくなってしまいます。
「レベル」を高めることは「困難」を共なうことではありますが、充実した喜びにつながるものとして努力しあいたいと思います。 





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