八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.13


【掲載:2013/09/15】

音楽旅歩き 第13回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[観光、自然、音楽 最後に光り輝くのは島の人たち]

 嬉しいですね。
観光客の増加が著しい石垣島。
 さぞかし新石垣空港も毎日賑わっていることでしょう。
私の大好きな島に訪れる人が多くなったのですから感慨無量です。
島のあちらこちらで出会う観光客が、笑顔でかしましくお喋りし、土産物店のロゴのついた袋を携え、カメラで写真を撮り続けている風景など、島大好き人間にとってはちょっと適切な表現ではないかもしれないのですが「してやったり!」と、ほくそ笑んでしまう情景です。
 そして観光客の増加を受けて、島の問題点も指摘され始めているようですね。
空港が手狭なこともその一つ。
私も思いましたね。
座るところがない到着ロビーには困りました。
また立ち止まることもできない狭いフロア(「立ち止まらないで」と注意をしてまわっている人)。
あれではサービス不足と言われてもしかたないでしょう。
 国際線ターミナルを見たときもあまりの小ささに感動!?しました。
空港はただ、乗り降りするだけの場所ではありませんね。
ショッピングや食事など出かける楽しさや面白さが必要な場所でもあります。

 一方、島の観光スポットや宿泊所でのより洗練されたサービス向上についても提言されています。
しかし八重山一番のセールスポイント、それは自然自体であることは自明。
島には素晴らしい自然があります。
眺望絶佳(ちょうぼうぜっか)、花や鳥の種類も豊富。珍しい植物や渡り鳥(旅鳥)など専門家にとっても貴重な情報を与えてくれる島です。
マリンスポーツ、それはもう言わずもがなですね。
 それに加えて「音楽」も重要だと私は言っておきましょう。
日本の文化のルーツを探るもの、また未来への新しい音楽を生み出す土壌を持つ島として魅力たっぷりです。この島を訪れる価値は揺るぎなく十分に存在します。

 観光客の増加にともなう経済効果、それは大いに歓迎すべきこと。
しかし真の効果となるためには一過性の現象で済ませてはなりません。
リピーターを増やさなければならないのですね。
再び人々が訪れてこそ、絶え間なく優しく強く人を育ませる場であってこそ、忘れる事の出来ない、また強く訪れたいと願う魅力ある島となります。
 誇れる自然だけに頼らず、環境を守り維持し、その中で共存者として営む魅力ある姿こそが永遠に繋がる可能性を秘めているのだと私は強く思います。
 よく言われることですが、器が先か中身が先か?つまり物(建物)が先か組織づくりや機能が先か?人々を受け入れる器の大きさや立派さを優先させるのか、あるいはサービスなどのメンタルな部分を優先させるのか?いやいや、器も中身も作る「個々の人間」が魅力だと私は思うのですね。
 人を見据えた「心尽くし」の個々の思いが何にも優って人を惹き付けます。
何度でも「来たい!」と思う条件は多ければ多いほど良いでしょう。
その中で最後に光り輝くのは島の人たちです。
島にしっかりと根ざし、活き活きと生活する人々なのです。





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