八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.18


【掲載:2013/11/17】

音楽旅歩き 第18回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[スポーツは人間としての「美」の世界]

 来年(2014年)の「石垣島トライアスロン」は休止になったそうですね。
以前、常宿にしているホテルの前をアスリート達の勇姿が駆け抜けていったことを思い出しました。
その速さと言ったら。あれは間近で見ないと分からないものですね。
風を切る、とはあのようなことを言うのでしょう。
そしてその動きの美しさといったら!
この休止、充電期間とするとの内容なので胸を撫で下ろしています。
やはり参加者にとっても、大会組織関係者にとっても、そして受け入れる市民にとっても大切な行事だと思いますね。
まぁ問題は山積みであることは想像に難く有りませんが、知恵を出し合い、前向きな解決策を是非とも講じて再開してもらいたいと切に願いたいです。

 ところでこういったスポーツの魅力って何だと思われますか。
大きく分けて二つ。
それは参加の魅力と見る魅力に分かれます。
参加者にとっての魅力とは、きっとひたすら体を動かすことへの快感に違いないと思うのですがいかがでしょう。
あるいは「挑戦」という精神の問題によって参加していらっしゃる方もおられるかもしれません。
自身との闘いですね。健康のため、ダイエットのためにと始めた方もいらっしゃるでしょうか。
 私は決してアスリートを目指す運動はできていないのですが、子どもの頃、遊びであった野球に惚(ほう)け、そして中学・高校では野球の延長で球技が大好きになり一通りはしましたね。
バレーボールにバスケットボール。
まだサッカーは普及していなかった、知らなかったと思います。
もし知っていれば相当のめり込んだに違いありません。
そして40歳にしてスキーにはまります。
そんな事をしている時はただただ体を動かしているのが快感。
勝ち負けやスピードを競うという楽しみもあったかもしれませんが、そのことよりは走って飛んで転んで、運動する爽快感がそもそも好きだったのだと思います。

 私の職業である「指揮者」になったのもその流れだったかもしれませんね。
最近はちょっと落ち着いたテンポとリズムで曲を表現しようとしますが、若い頃はスピード感とリズム感、その快速テンポが私の特徴、そして評価でした。
生まれ持った性質、音楽感(きっと沖縄の血)がそうさせる一因だったかもしれないと今では思っています。
 そんな私ですから観戦よりは運動参加型人間です。
見る方はあまり興味はありませんでした。
それがある時衝撃的に感じたことがあったのですね。
アスリート達の「動きの美」です。
運動によって生じる全身の動き、筋肉の「美」です。
その動きが静止画像として映しだされたときの何という美しさ!
 足と手の関連運動。上半身と下半身のバランス。
鍛え抜かれた体の美。遅まきながらそのことに感動を覚えました。

 スポーツは参加する人も、観戦する人たちも等しく感動を覚える世界です。
それは人間としての「美」の世界ですね。
「石垣島トライアスロン」、一年間の充電期間を経ての早期開催を切に願うものです。





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