八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.88


【掲載:2016/12/06(日)】

音楽旅歩き 第88回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【はじめての胃痛にストレスの重さを感じる】

 相変わらず旅が続いています。
とはいえ、新しい場所へとは広がっていないのですが、京都、名古屋、東京と走り回る旅。
そうこうしているうちに胃痛がある夜起こってしまいました。
いつものように仲間と酒を酌み交わしていたのですが、途中から胃痛が始まったのです。
これまでにも似たような感覚の痛みはありましたが、その痛みは始めて味わう感覚。
これは危ない、「具合良くないよ」との思い。その夜から痛みが治まることなく、この約二三日前に至るまで痛みに苛(さいな)まれる始末。
その痛みが胸骨や、左側の背中に痛みが移ったことでどうもいけません。
後で知るのですが「逆流性食道炎」なるものに罹(かか)ったいたようです。
 人は暴飲暴食が原因だというのですが、まぁそう言われればそうなのかなとも思うふしもありますが、どうも私にはその原因が納得しがたく、何人かの医者に相談するとそれは「ストレス」ですと皆が仰る!。
 これは納得できると、少し安堵の気持ち。
ストレスが原因での胃痛、そしてそれが左側の肩甲骨あたりに痛みもあるといったことが安堵とは可笑(おか)しなものですが、「暴飲暴食」と言われるよりはましだと思ったのでしょう。

 指揮者とは人と人との間をくぐっての仕事。音楽中心、音符中心と思われがちですが、いえいえそれは表向き。
実は人との精神的な遣り取りの仕事です。
ストレスが溜まって当たり前、それがいくつも重なり、リフレッシュする間もなく次から次へと走り続ける。
それに仕事場を何時間もかけて移動するということもありますから、それはもう体が悲鳴を上げてもおかしくはありません。
ついに、その「痛み」が来たか!ということなのでしょうね。

 幾つかの仕事に迷惑を掛けてしまいました。出来る限り、休むことなく仕事をし続けるのがいいのですが、不安が先立って、本番(演奏会)をキャンセルするような事態になってはと、練習や原稿書きなど休ませていただきました。
原因が分かれば気持ちが楽になるものです。
薬も頂き、治っては来ましたがそれに一ヶ月が経ってしまいました。
この際胃カメラで胃の中を見てもらえば、との忠告をあちらこちらからいただきます。
病院や、お医者さんって苦手な私には大きな課題なのですが、「人間ドック」にそろそろまた行かなければいけないとの思し召しなのかもしれないと思う今日この頃です。

 医者の話の続き。「胃や腸など、消化器官は精神的なものと直結していてストレスなど、もろに影響を受けるのですから先生などてきめんですよ」と言われる。
本人はいつものような生活だと思っていても、体は正直に反応するのでしょう。
このあたりで休暇を頂いて、と私も周りも思うのですが決まっているスケジュールは過密。
それがまた、これからが佳境に入るという時期。
体をだましだましし続けてこなしていかなければなりません。
少なくとも、ストレスが溜まるような事態から逃れ、音楽を「楽しく」「面白く」したいものです。





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