八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.135


【掲載:2019/3/17(日)】

音楽旅歩き 第135回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

楽譜の持ち運び、「めくり」問題を解決する機器の登場

 楽譜の重さは半端じゃないです。
指揮者をしていると次々とやって来るコンサートのために多くの楽譜を持ち運びます。
合唱練習の時に使う「ボーカルスコア」(オペラ・オラトリオなど声楽を含む合奏作品で,歌手や指揮者のために器楽パートをピアノ又はオルガン独奏用に編曲し,声楽パートは各声部ごとに別の譜表に記した楽譜)は比較的薄く、楽譜自体の重さもまだ軽い。
しかしコンサートは一曲だけということはありませんから演奏する曲の数だけ持ち運ぶことになります。
これがなかなかの重さになります。
腰にかかる負担に気を付けながら練習場へと持ち運びます。
(私の場合は団員や近しい人に持って頂くことが多いので随分助かってはいますが)
「フルスコア」(合奏・合唱など全パートの譜を一目で見られるようにした楽譜。
指揮者が用いる)に至っては、もう大きくて重さも相当なもの。
持ち運ぶカバンも大型になり、カバン自体の重量も入れるとちょっと長時間の持ち運びが困難な事となります。
指揮者としての現実的な思いを言えばできるだけ楽譜の軽量化を図りたいところ。
そしてもう一つ、楽譜を見るという状況で問題が起こることがあります。
それは練習時やコンサートの時の「楽譜めくり」の問題。
楽譜を見ないで「暗譜」の演奏に臨むのならば良いのですが、譜面を見ての指揮(演奏)となるとどうしてもこの「めくり」がやっかいな問題になります。
乾燥肌である私の指先ではページをめくるのに〈時間がかかってしまう〉のです。
つばを付けたり、専用のクリームを付けたりしてこれまでやってきているのですが、
もっと簡単にめくることはできないものだろうかというのが、いつも引っかかっていることでした。

 そしてついに、最近その機器を知ったのですね。
ふれ込みでは世界初。2画面電子ペーパー楽譜専用端末である電子機器「GVIDO」(グイド)がそれです。
日本人が開発し販売していて、世界市場を睨んで販売を展開しようとする画期的な機器です。
この存在を知って、現物を見に行き、担当者に説明を聞いて(現在はまだ高価な値段がついていてそう容易く買えるものではないのですが)、購入することに決めました。
これを使用してまだ2週間ほどしか経っていないのですが、楽譜による〈重さ〉と演奏時の〈めくり〉というこの二つの煩(わずら)わしさから今は解放され、手軽さを味わっています。
今まで多いときには10冊ほど持ち歩き、時にオーケストラを伴う大曲演奏で使う重い々々フルスコアが入っていたカバンでは、
この機器が一つだけとなってカバンも薄く軽くなりました。
ただ、やはり電子機器である故に大きな不安を抱いてしまうことは必至です。
それは「故障」であり、例え故障とは言えずとも機器の一時的なトラブルが起こった時にはどう対処できるのか、です。
しばらく使ってみようと思っています。
「日本人が創った画期的なもの」、それを応援する気持ちが強いです。





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