八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.175


【掲載:2021/05/30(日)】

音楽旅歩き 第175回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

全ての感染予防対策を講じて行われた演奏会

 オリンピックが話題になっていますね。
開催するのかそれとも否か。私はこの「コロナ禍」では開催は無理だと思っています。
しかし、オリンピック関連の組織は「問題なし」だとして開催を押し進めようとするのですが、多くの国々では「無理だ」との判断が多いようです(アメリカでさえ日本に行くのは止めるようにとの通告)、
さてどうなるのでしょうか?このコラムを書いている時点ではまだ決定はされていませんね。

 ワクチンも打たれはじめていますが、まだまだ行き届いているわけでもなく、また計画通りに進んでいるとは言い難い状況が続いています。
私もまだ打ってはいません。(通知は早くから来ているのですが)
政府の後手後手の対応に振り回されている感は否めません。これはいつ解決となるのでしょう。

 そういった状況下で、私は二つの演奏会で指揮をしました。
一つは「名古屋ビクトリア合唱団」第23回定期演奏会、そして大阪での「マンスリー・コンサートNo.455」です。
「緊急事態宣言」が出されている愛知県と大阪府。
名古屋では音楽ホールとして名高い「しらかわホール」、大阪では私たちの本拠地「日本福音ルーテル大阪教会」が開催することを「良し」と判断して下さっての演奏会です。
勿論、そのための「感染防止対策」を講ずることが条件です。

 しかしこの二つの演奏会場では指針が微妙に異なりました。
その原因は、いまだに政府が示している感染予防策に関する情報が曖昧かつ確立しておらず、広く信頼を得ていないことだと思われます。
如実に表れたのが名古屋のホール。その指針はこれまで出された予防策を全て盛り込んだものになっていました。
正直、私から見て?マークが付く項目が並んでいます。
一方、教会では「換気の徹底」「マスク・手指消毒の奨励」だけ。
座る間隔を空ける、という方法は来て下さる観客にお任せです。
私たちが細かく誘導しての事柄ではありません。
まぁ、対応策の結論としては、演奏する側にとっても来て下った観客の方々にとっても「安心・安全」が保証されている計らいである、ということですね。
この二つの演奏会、それぞれの指針に沿うようにして開催し無事終了することができました。
対応策に少しの混乱を見ますが、底にあるのはそれぞれの「信頼」です。
感染しない、させない、という「信頼」があれば問題はそう大きなものとはならないと思うのですね。
「音楽が好き」「音楽を欲する」ことで繋がっている演奏者と観客。
安心と平穏なる環境を望む同士の集いです。〈信頼に足る関係〉だからこそ可能となる「演奏会」である筈です。

 世界中から人々が集まってくるオリンピックは「コンサート」などとは桁違いのイベントです。
皆が信頼で結ばれれば開催もできるでしょうが、もし感染を防止できなければそれこそ世界にとっても一番恐ろしい事態が起こる、ということになります。
これはやはり試されている、としか言いようのない人類ですね。「信頼!」・・・・・・さて如何に。





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