日々つれづれ
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2021年3月11日(木)
10年前のその日のこと

東日本大震災で、思い知ったことの一つは、
過去の伝承の重要性だ。
いくつか読んだ記事の中で、
忘れ去られた碑に、津波の伝承が書かれていたり、
神社や仏閣の位置が、
かつて津波が来た位置だったりと言うのを
よく目にした。

一番驚いたのは貞観地震のこと。
東日本大震災があって初めて知った。
他にも、同じ場所で違う時代に起こった
津波を伴う地震を記録した古文書があった。
それを忘れ去ってしまっていたことに
ショックを受けた。

そして実は近年に、
地震と津波が一緒に起こった出来事があった。
1993年に起こった北海道南西沖地震だ。
奥尻島が津波の被害に遭った。
でも覚えている人は少ないと思う。
当時はYouTubeがなかった、SNSがなかった。

私たちが目にしたのは、津波が去った後の景色。
だから津波で何が起こるのか知らなかった。
東日本大震災で衝撃だったのは、
たくさんの人たちが撮影し、
アップした地震と津波の動画たちだった。

それは日本だけでなく世界中の人が目にした。
今でも見れる。
これほどの教訓は人類の歴史を振り返っても無い。
インターネットが存在する限りこの教訓は残るから、
今後、南海地震が起こる可能性が指摘されているけれど、
東日本大震災のことは活かされると思う。

10年前のその日、
大阪では揺れが感じられた様だけれど、
神戸ではほとんど気がつかなかった。
2時間休みをとっていたので、
早めに職場を出た時、
区の広報のスピーカーから
海岸に近寄らないでくださいと言っていたのを、
訓練って言ってたっけと思うほど
気がついていなかった。

気が付いたのは、電車に乗ってから。
ある男性が音漏れを気にすることなく、
ワンセグ放送を見ていた。
そこからは何かただならぬことが
起こった感じが伝わった。
慌てて僕もiPhoneにワンセグアダプターをつけ、
見始めた。

そこに映っていたのは見慣れない大津波警報
という文字と仙台に迫る大津波の映像。

そのリアルタイムの映像は今でも忘れられない。
映画でしか観たことのない光景が
現実に起こっている。
それと付き合っていかなければならない国土に
自分たちは住んでいる。
その翌日に書いた日記。

2021年3月15日(月)
今も続いている


「ロッキード」真山仁

数年前、外食していたころ、店に週刊文春がおいてあり
丁度連載が始まった時だった。
その面白さに、その店に通うという
本末転倒なことが起こっていたが、
諸般の事情で外食の機会が減り、
本にまとまるのを待っていた。

出版されたものは、600ページ弱あり、
辞書ほどの厚みになっていた。
この事件がマスコミをにぎわしていたのは、
僕が小学1年生のころ。
事件の意味が分かるわけもなく、
ただ、世間全般が、汚職にまみれた政治家
というレッテルを貼って大騒ぎしていたので、
よく知らないまま、悪い人なんだなと思っていたくらい。
でも、よくモノマネもされていたので、
良くも悪くも注目される人だった。

東日本大震災以後、近現代史の書籍をたくさん読むようになり、
新聞をはじめとするマスコミに関する見方もずいぶん変わり、
そんな時期に目にした連載だった。
インターネットやSNSもなく、
新聞、テレビ、雑誌が世論をつくっていた時代、
何が起こり、何が伝えられたのか、その結果がどうなったのか、
膨大な資料を基に書かれている。

カウンターメディアが無かった頃のマスメディアの力は強大で、
世論も、それのみに動かされていた。
あれほどの権勢を誇っていた田中角栄氏でさえ、
弁明のための対抗メディアを持たなかった事実は、隔世の感がある。

この書籍で明らかになった事は、
現在も別の形で、別の国も行っていることは明らかで、
それが世界の常識であることを改めて認識できた。

あのまま、角栄氏が総理を続けていたら、
日本はもっと違っていたんだろうな。
ある意味日本の転換点だったことを、強く感じた。

2021年3月21日(日)
写真の可能性

ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター
2021.2.13 土−3.28 日

https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2103.html

実に面白かった。
もともとは何かで見かけて、
その色に魅力されたのが始まり。

写真の可能性がたくさん見られる。

面白いのは、1950年代、60年代の写真と
2009年の写真が並んでいるけれど全く違和感がないこと。

まだ未発表の作品があるらしいので、
これからも楽しみ。

視点も面白いし、
色使い(写真のなので取り込む色)、
構図、ピントも楽しい。

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