八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.10


【掲載:2013/08/29(木曜日)】

やいま千思万想(第10回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[冒険してみませんか?]

 冒険してみませんか?冒険者となってみませんか?
「大」が付くほどの冒険でなくてもいいのです。
隣町を訪れるとか、新しい店を発見するとか。
離島に行くとか、したこともない遊びをしてみるとか。
きっと新しい発見が待っていると思うのですね。
 自身の世界を拡げるというのは、ものの見方、感じ方、考え方、価値観の全てを変えてしまうようなことになるかもしれません。
それは未知への感動の体験です。
人間の「向上心」は新しい出会い、刺激ある出会いがあってこそ蠢(うごめ)きます。
人間はその繰り返しで進化してきました。
恐れず、怯(ひる)まず進んで行く、その足跡を後の人々が追うことで人は人の領域を拡げてきたのでした。

 見ようとしないと始まらないですね。
見ないと見えない。
見ようとしてこそ前は開かれます。
好奇心、知識欲、探究心、実はこれらは人間の生きるエネルギー源です。
もしそれらが消耗されているならば、人は「生きているけれど、死んでいる」状態、そう思うのですがいかがでしょう?
人は生来(せいらい)冒険者ではないか、生きる本質とは冒険なのではないかと思うのですね。
その冒険心が身近なものからはるかな世界へと膨らんでいく。
前人未踏の山の頂に立つ。
深海の底を探る。
洞窟の奥へと向かう 。
地球上のあらゆる場所へと探索が成されていく。
そして人類は地球を離れて宇宙へと飛び立つ。
冒険者となれ!それぞれが、それぞれの分野で冒険者となれ!
そう叫びたいですね。そして、その冒険者がもっと評価され、尊敬される社会であって欲しいと願うのです。
安全で安定した日常の営みはいずれは痩せ細っていくことになりかねません。
進歩、発展に繋がるであろう刺激を伴わないからですね。刺激無く生きていくことに人間は耐えられないと思います。

 大都会は時間が支配する世界です。
分刻みのスケジュールにひしめく世界。予定の中に生きる人々、決まりきった時間に余裕などありません。
生活は確かに豊かになった大都会、しかし人間にとって「余裕」という大切な時間を無くしました。
その代償は大きかった。
今では多くの人々が重いストレスゆえに豊かに生きる道を見失い、あるいは迷いの道に入り込み、また日常に麻痺している感があります。

 人が定めたことをよく考えることなく毎日繰り返す。
時折趣味などを通して楽しいと思う時間を過ごすことがあっても、どうなるか想像もつかないドキドキワクワク、心震える瞬間を求め探る楽しさはない。超システム化された管理社会。何となく時間が流れて行く社会。
時には家を出て、出掛けてみましょう。
新しい発見を自身の中にも人々にも現しましょう。
それこそが人間の、人類の発展に繋がっていく大きな要因なのですから。





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