八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.13


【掲載:2013/10/17(木曜日)】

やいま千思万想(第13回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[精神活動のエネルギー源とは]

 この地球上で生きているものの幸福とは、命が保たれ、安全に生きる環境が整えられ、命尽きるまで永続することだと思うのですが如何でしょう。。
暮らす場所、食べ物、そして気候。これらが安定されてこそ幸福を覚えるのだと思うのです。。
それは生きて行くために必要な最低条件でしょう。。
しかし、「幸福度」となれば別で、個々で様々な違いが出て来ることになります。。
特に量をはかることのできない心の豊かさとか、充実とかは難しい問題です。
私が携わっている音楽など、生きていくためには必要ないと言えるかもしれません。。
音楽でお腹が一杯になるわけでなく、極暑も、極寒も凌(しの)げるわけではありません。。
 しかし生きていることだけで満足、幸福ではないのだ、と知ったのが人間でした。。
生きて行くために心のエネルギーを、形には表しにくい感情や感覚を人間は必要としたのですね。感情や感覚を呼び起こす、呼び覚ます、衝動的エネルギーを自らが積極的に取り入れて生きてきたのですね。。
 一見不必要に思えるもの、価値のないものと思われるものが、人間が快適(幸福)に生きていくために大切で必要なのだと気付いたのです。
精神活動のエネルギー源をそこに見出したのですね。。
活動の場は一様ではないでしょう。様々な場所で行われます。
その場所を提供するのが個人である場合もあるのですが、地域活性化を図ろうとする国や県や市の政策によって、個人の生活を豊かに彩るための公共の施設を提供することもあります。

 石垣島で体験した二つのことがずっと気になっています。
一つは市立文化会館。そしてもう一つは石垣ー波照間の交通です。
文化会館の役割は市民生活に大きな影響を与えます。私が住む大阪でも大いに役立てられていて活発に利用されています。
石垣の文化会館を訪れた時、「古くて、暗い」というのが最初の印象でした。
 そして建物の老朽化です。市民生活の活性化のためにも様々な活動の拠点として、また次世代の人材を育てる意味においても安心して活発に利用できる場として体制を整えて頂きたいと強く思いました。

 もうひとつの記憶、波照間。波照間に行くのは勇気が要ります。
覚悟が要ります。
あの外海に出たときの船の揺れ。慣れない者にとってはなかなかの難関です。
慣れの問題でもあるかもしれませんがあの船の揺れは相当なもの、時化に遭っては運休も含めて難題です。
波照間は知る人ぞ知る星の島。満天の星は必見です。
島民にとってもまた島を訪れたいと思っている人々にとっても航空路線再開へのニュースは朗報でしょう、私は我が事のように喜びました。
早期運行を望みたいですね。人の活動の場と人の移動。それは生きがいを生み出す基本的な要因だと思うのです。
その八重山の島々で海と空を人々が行き交う活発な姿、想像するだけで楽しくなる私です。
諸分野における日本の最前線、八重山。人々の暮らし、先駆けて幸福の島となって欲しいと思っています。





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