八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.73


【掲載:2016/03/09(水曜日)】

やいま千思万想(第73回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

石垣滞在中に思う

 2月25日、石垣に来ました。大阪は寒かったですが、石垣も寒かった。
これを書いている3月6日はやっと暖かく、いや、暑くなってきていますが。
今年は10日まで滞在。2週間の休暇です。
気候もそうですが、世の中も目まぐるしく動く中、石垣はその最中にあることを実感する滞在です。
落ち着きがない島といえばそうなのでしょうが、活発に動いているとも言えますから、それはまた今後の結果で良かったか良くなかったかが判明するはずです。

 今回初めて黒島に渡りました。牛まつりの日です。人口220人の島に3,500人ほどの人が訪れたと聞きます。牛3千頭余りの島、それを上回る人出の賑わいは私もその中の1人として実感をもって体験しました。
島の人がボソッと「祭りが毎月あればいいね」と言った、と一緒にいたメンバーから聞いたのですが、然(さ)もありなん、です。
 メインの会場では唄あり、面白いトークがあり、そして名物の牛肉があり、いやぁそれはそれはとても笑顔が一杯のご機嫌の島でした。
自転車で回ったのですが島の牧場の風景が目に焼き付いています。
離島へ来て思うのですが、訪れたならば島で一泊したいものですね。
数時間で石垣島にまた戻るのは惜しい気がします。島人の話は必聴、そして夜景も必見でしょう。

石垣に戻った夜は行きつけの店で飲みます。
変わらない店と店員に出会うとホッとします。新しい店にも行くのですが、それらの店が今後島の魅力の一つとなり得るかを考えるのもまた楽し、ですね。
 「バンナ岳森林公園」を通るたびに思うことがあります。
以前、FMラジオに出演した折にも言ったのですが、世界中から音楽家や、それを学ぶ人たちが集えて、研修、練習、そしてコンサートができる施設がここにあればと。
石垣島にはコンサートホールがまだ無いですね。あんなに素敵な公園があるのですから、音楽ホールと音楽を学べる施設をその中に作れば一年を通して島が賑わうと思うのですが、どうでしょう。
 自然音と共に、人が作る反射音による美しい響きの協演。
古代のギリシャ劇場のような自然と一体となった音響の良い新しいホール。それを私は夢見るのですね。

 黒島に行って離島への関心を一層もった私は小浜島に行ってみたくなりました。
以前波照間に船で渡った折り、あの荒波にちょっと怯(ひる)んでしまった私。
しかし、小浜島へは距離が近いこともあり、そして良い天気に恵まれたこともあって、今回初めて訪れてみることにしました。
島はアップダウンが大きいようで自転車は諦め、レンタカーで。
展望台からの眺めは最高でしたね。そこから眺める石垣は親島の貫禄。沖縄は広い!沖縄の人口が凡そ143万人、そして石垣市の人口が凡そ4万8千人。
しかしそこでの営みは決して小さいものでは無い!日本の中でも極めて注目度が高くなっている県であり、また未来をも予見できる地域。
日本本土と島の営みがどのように絡まっていくのか。やはり私にとって目が離せない島々です。





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