八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.79


【掲載:2016/06/02(木曜日)】

やいま千思万想(第79回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[慰霊]の思いをこの石垣島で奏でます

 このコラムも第79回目を迎えました。
ほぼ二週間ごとに書いていますからざっと数えて三年前からとなります。第1回目は2013年4月18日でした。子ども演劇「現代版組踊オヤケアカハチ」の練習を見ての感想で、「少年たちの世界に涙」と題して書いています。
私が石垣島に初めてやって来たのが1997年11月21日。
それから今日まで19年が経ちました。コラムは16年目で書き始めたことになります。

 来島以来この島がますます好きになりました。
両親が沖縄那覇出身ということもあったかもしれませんが、段々と海の中だけでなく(来島のきっかけはダイビングでしたから)、陸(おか)とそこに暮らす人たちにも興味が湧き、興味が湧けば島全体が気になり、そして一層関心も高まってついには想いを綴る、ということに成ったわけです。
好きな人に対して何かを言おうとすると見なくても良いものも見えてきます。
それと同じですね。好きだからこそ不安になり、そして心配になって苦言と取られるようなことも言わなくてはならなくなります。そんな心境で書いたこともいくつかありました。
好きな人と常に互いに良い関係でいたいと思えば思うほど、その保ち方が難しい、と感じますね。

 私が音楽家である故でしょう、島の音楽が気になってしかたありません。
先人たちの意見や、私自身の経験を通してこの島の「未来への音楽」に関心が行きます。
昔と今と未来、その流れの中で島の文化に即した音楽を残して欲しいと願う気持ちが強いです。
伝統的な音楽、今の音楽、そして未来の音楽はこの島の文化の根っこ、自然を無視して成り立つことはないと思うのですね。
島の環境の中でこそ、その環境を生かしてこそ、真に活きる音楽が響くのだと思います。
音楽は言葉だけでは伝わりません。
音にしてこそ伝わります。コラムでいくら音楽を語り、想いを綴ってもその言葉では伝えることのできない部分が音楽には多くあるのですね。
音楽は言葉を超えます。説明を超えるのですね。
そのことの歯痒い気持ちでこの数年間を過ごしてきたように思います。
書けば書くほどその想いは強くなってきたように思います。

 この島で私が思う、感じる、『伝えたい音楽』を響かせてみたい!
その思いが年々大きくなり、そしてそれは今月の23日、「慰霊の日」に実現させていただくこととなりました。
「ホテル日航八重山」での演奏です。
合唱団の主力メンバーが賛意を示してくれての参加です。
(今までの演奏はユーチューブ、https://www.youtube.com/user/OCMofficialでも聴いていただけます)
これによって石垣島の方々に〈合唱の響き、面白さ〉を通して〈慰霊の想い〉を聴いていただく機会を得ました。
少し宣伝のようになってしまったかもしれませんが、このコラムで綴ってきたことを音楽で伝えることができるのではないかとの強い想い故とお許しいただければ幸いです。





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