八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.136


【掲載:2018/11/29(木曜日)】

やいま千思万想(第136回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

「変声期」の指導は?原稿依頼の話です

 今回も電話の話から始まります。「全音楽譜出版社(全音)」からコラム的な原稿を書いてくださいとの依頼です。
何やら内容が不明確で要領を得ないのですが、「変声期」について、というのだけは決めていますとのこと。
このテーマ、発声の中でも皆、特に教育に携わっておられる方々には切実な問題でもありますから、一応お引き受けすることにしました。
しかし、内容の項目についての要望がありません。「先生にお任せしますから、どうぞよろしくお願いします」というわけです。困りました。
が、いつもこの問題は頭にあるものですから色々と推し量って書いてみることにしました。
依頼があってから二、三日で書いたのではないでしょうか。一気に書いたように思います。

 話は遡(さかのぼ)るのですが、なぜ私にこのような原稿依頼かというと、
以前この「全音楽譜出版社」から【合唱のためのメソッド〜あなたの発声が生かされる発声法「ヴォーチェ・ディ・フィンテとその実践」】という発声法テキストを出版していたことに依っています。
その時の編集担当者のアドバイスがあったものでしょう。
このテキスト、沢山の方に利用して頂いているようで何度かの重版が行われています。
内容は私と私の合唱団で示し得た実践を元に記述したものですから、現場にとっては身近に役立つ内容として受け入れられたものだろうと思います。

 話は戻って依頼原稿。
出来上がった立派な冊子が送られてきました。
「こどもたちの〝できる!〝を形に(音楽の授業作りを応援します)」との題名で子供たちの嬉しそうなリズムを打つ写真が表紙になっています。
冊子が配られた研究会について、その編集者から後に報告があったそうです。
以下のようだったと伝え聞きました。
『音楽の先生方が授業の研究をするための研究会が、毎年10月末〜11月頃に行われます。
主催は教育委員会などですが、全音はこれらの会に協賛しています。
各地域ブロック(北海道、東海など)ごとに行われる会と、全国大会とがあり、 この冊子は全ての参加者に配られました。
各ブロックの参加者(先生方)は500〜700名程度。
今回はこの冊子を5,000部刷られたそうです。来年度の夏季、冬期に行われる不定期の教員研修会などでも配布の予定だそうです。 』
その担当編集者の感想として「本当に素晴らしい原稿で、先生方も喜んでおられました!」と繰り返し言っておられたとのことです。
正直嬉しいです。
依頼された時には具体的な内容は示されなかったのですが、以前から私が思うところの対応できる実践的な練習法であり、
そして子供から大人へと成長するその時期「変声期」をどう捉えて指導していけば良いか、それは「希望」と「喜び」に至る道であるとの意見を述べたものですから、
それを読んで頂いたことに大きな喜びを感じます。
実際にお困りの指導者、そして当の子供たちにとっての良き〈道しるべ〉と成ればと願わずにはいられませんでした。





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